2020年のカンヌ国際映画祭に正式出品された映画『旅立つ息子へ』が、3月26日(金)にTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開される。この度、同作を手掛けたニル・ベルグマンの監督インタビューが到着! 合わせて、父アハロン(シャイ・アヴィヴィ)と息子ウリ(ノアム・インベル)の繊細な関係を捉えた新場面写真3点も解禁となった。

ニル・ベルグマン最新作『旅立つ息子へ』の監督インタビューが到着

実話に基づく親子の愛と絆の物語を描いた本作。今回のテーマで映画を撮ろうと思ったことについてベルグマン監督は、「自閉症スペクトラムの息子を育てる父親を描いていますが、私はシンプルに“父親”を描きました。私自身、初めて父親になった日に息子を見て、心が震えたからです。この子は世界で一番、おだやかで優しく、壊れやすい存在だと。私は危険な世界から、この子を守れるだろうかと。本作のアハロンも同じことを考えたはずです」と振り返る。

親子を描く上で監督自身が意識したことについては、「息子を守ろうという父の思いは、国境や文化を越えて共感を呼ぶものだと思います。危険な世界から愛しい誰かを守るというテーマは、身近なものですからね。私は劇中にある“ねじれ”がとても気に入っています。父親は息子のためにキャリアを捨てたのではなく、自分の繊細かつもろい性格ゆえに、子育てという盾を手にして現実逃避したのです。実は息子を利用しているのです。アハロンを苦しめる葛藤は、人生に悩む人々の共感も得られると思います」と語っている。

ニル・ベルグマン最新作『旅立つ息子へ』で描かれた父親の愛と“ねじれ”とは?監督インタビューが到着 film210323_musukoe_1-1920x1042

キャラクターのリサーチについては、「ウリ役のノアム・インベルと私で、自閉症スペクトラムの人々が暮らす施設へ数カ所出向きました。そこで分かったのは、自閉症スペクトラムはかなり幅広いということです。施設で出会った人々は、それぞれが違い特別だったので、私たちもウリのキャラクターを、特別なものにしようと試みました」とコメント。参考にした映画については、「撮影監督のシャイ・ゴールドマンと、カメラと登場人物との間に、適切な距離感がある作品を参考にしようと話していました。選んだのはケネス・ロナーガン監督の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』です。思いやりをもって彼らを観察しているような透明感ある演出に、感銘を受けました。私たちが目指したのは、この方法にならい、登場人物と彼らの関係性によって展開されていく映画でした」と話している。

さらに好きな日本の映画について尋ねられると、「小津安二郎黒澤明といった名匠はもちろん、滝田洋二郎監督、北野武監督、そして是枝裕和監督を尊敬しています。イスラエルで最も有名な映画評論家の1人から、本作と是枝監督の作品を比較され、とても誇りに思いました」と明かした。

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そしてインタビューの最後には、「この映画が上映される瞬間、どれほど皆さんと一緒にいたいか、どれほど皆さんと一緒にこの映画を感じたかったか。私は本当に日本が大好きで、観光客として、また2度もグランプリをいただいた東京国際映画祭に監督として訪日しています。この映画では、日本的なものを感じてもらえると思っていますが、それが何かは私はうまく説明することができません。きっと皆さんの方が、発見し、理解してもらえるものと信じています。この映画を観て、共感して、楽しんでもらえますように願っています。そして近い将来、お会いできる日が来ることを心待ちにしています。その時まで、皆さんと、皆さんの大切な人たちの健康を祈り、一日も早く日常に戻ることを祈っています」と、日本の観客に向けて思いを語っていた。

これまで家族の心の機微を捉え続けてきたベルグマン監督が、複雑な“ねじれ”と共に親子の姿を描いた本作『旅立つ息子へ』。国境や文化を越えて共感を呼ぶ愛の物語を、是非スクリーンで堪能してほしい。

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ニル・ベルグマン監督
(c) Dan Hirsch

3/26(金)公開『旅立つ息子へ』本予告/世界中がこの美しい親子愛に大粒の涙!!

INFORMATION

旅立つ息子へ

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3月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
監督:ニル・ベルグマン(『僕の心の奥の文法』 第23回東京国際映画祭グランプリ受賞)
脚本:ダナ・イディシス
出演:シャイ・アヴィヴィ、ノアム・インベル、スマダル・ヴォルフマン
©︎ 2020 Spiro Films LTD.
2020年/イスラエル・イタリア/ヘブライ語/94分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/英題:Here We Are/日本語字幕:原田りえ
配給:ロングライド
PG12

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