ーーでは、バンドの音楽に大きな影響を与えたと思うアーティストを何組か挙げるとしたら? 選んだアーティストについて感じている魅力も教えてもらえると嬉しいです。

具体的にどのバンドというより、“バンド”という領域だけに収まらないバンドになりたい。音楽だけじゃなく、ヴィジュアルも同じくくらいこだわったライブショーや、ビデオやサウンドサウンドスケープ、その他の沢山の要素に力をいれたグループになることが目標だね。最終的には、“バンド”以上のアーティスト・グループになりたい。まだ先の話だけど(笑)。アートというフォーム全てを使って色々なものを表現していきたいんだ。

ーーそしてバンドを始めた際、「こんな活動をしたい」というアイディアのようなものはあったのでしょうか?

昔よくゲームをやっていたんだけど(笑)。その中でも好きだったのが、その音楽をずっと聴いてることだったんだ。で、マイケル・ジャクソンも一度ゲーム音楽を手掛けようとしたことがあったらしく、結局サウンドのクオリティが気に入らなくて彼は自分の名前をクレジットから外したらしいんだけど、それを知ってすごくクールだと思ったんだ。自分もそういうのが出来たらいいなと思った。

ーーいつか実現するといいですね。

ホントだよ。音楽だけじゃなくてゲームそのものも作ってみたいし、とにかく何でも作ってみたい(笑)。

ーーMGMTがまだマネージメントと名乗っていた頃、彼らは何でもありの前衛アートのような活動をしていたのですが、あなたたちの音楽を聴いていると、時おりその頃のMGMTの雰囲気を思い起させる瞬間があります。

そう? 彼らの音楽は大好きだけど、僕は彼らについてよく知らないからなんとも言えないな(苦笑)。

ーーでは、自分たち自身が影響を受けている、刺激を受けていると思うアーティストは?

きゃりーぱみゅぱみゅ。彼女は好きだね。ロサンゼルス公演も見に行ったくらい。すごく良いショーだった。彼女のショーのヴィジュアルって、本当にクールで楽しいと思う。あとは……マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、ブレンダ・リーあたりかな。バディ・ホリーも。あと、最近気に入ってるのはホワイト・ノイズっていうバンド。60年代くらいに始まったBBCレディオフォニック・ワークショップの流れで出て来たバンドなんだけど、彼らの最初の作品は1969年に発売されて、ドクター・フーのテーマを手掛けたデリア・ダービシャーがそのレコードに関わっているんだ。あのファンタジーっぽいサウンドと、ヴィジュアルが想像できるサウンド、当時のテクノロジーを使ったエレクトロニックなサウンドスケープは好きだな。すごくシネマティックでありながら、ポップでもあり、ノイズの要素もある。そういった、イメージが膨らんでいくようなサウンドはお気に入り。

ーーやはりシネマティックな音楽が今も変わらず好きなんですね。

そうだね。SFっぽいサウンドとか、ファンタジーっぽいサウンドに惹かれるんだ。」

ーー音楽以外で影響を受けているものは?

映画の『ホーリー・マウンテン』(73年)の影響は大きいね。この映画は、ヴィジュアルからシナリオまでとにかく素晴らしい。特にこの映画のヴィジュアルの要素からはかなりインスパイアされていると思うよ。

ーーたとえばステージやアーティスト写真での衣装や、ジャケット写真もとてもユニークです。音楽だけでなくヴィジュアル要素やユニークなライヴ・パフォーマンスなど様々な要素を詰め込んだ“アート”を作る、ということはバンドにとって大切なことだと思いますか?

かなりね。だからこそ、「Swell Swan corporation」という会社を立ち上げたんだ。これからもっと機械を増やしたり、レコーディングスタジオを作ったり、他のバンドと関わったりして、音楽を軸としながらも音楽以上のことをやる団体にしていきたくて。結果的には、バンドというフォーマットを使いながらマルチメディア法人にしていきたいんだ。今はまだプロジェクト・レベルだけど、楽しめるチャレンジだと思う。

ーーなるほど、あとで「Swell Swan corporation」について聞こうと思っていました。

今はまだあまり情報は公開したくないんだけどね(笑)。もう少したったらもっと知られるようになるんじゃないかな(笑)。

ーーフィーヴァー・ザ・ゴーストというバンド名の由来は? 

このバンド名は……たまにメロディを思いついて、まだ歌詞を考えてないから、そのメロディに適当に言葉を付けることがあるんだ。で、ある時、自分でも理由はわからないけど何故か「フィーヴァー・ザ・ゴースト」っていう言葉が出て来たんだよね(笑)。長時間ドライブしている時に、そのメロディと歌詞が頭の中でずっとリピートされてて止まらなくて(笑)。

ーーその後14年にデビューEP『クラブ・ハニー』をリリースして、<レコード・ストア・デイ>にはテンプルズとのスプリット7インチもリリースしました。彼らとは英米それぞれ活動拠点は違いますが、楽曲にサイケデリックな要素があるという意味では共通していますね。彼らについてはどんな魅力を感じていますか。

彼らは本当にクール。最高のバンドだよ。一緒にいてすごく楽しかったし、落ち着きがあるし、本当に良い人たちだから、すぐに仲良くなったんだ。彼らは友達だよ。

ーー彼らと共通する、または似ている部分があるとは思いますか?

どうだろうね。多分、似ていないからこそあの企画が面白かったんだと思う。音楽そのものも、やり方も違うと思うし、だからこそやりがいがあったんじゃないかな。すごく楽しかった。

ーー彼らの他に、若手アーティストで共感する/好きなバンドやアーティストがいれば教えてください。

アワー・オブ・ザ・タイム・マジェスティ12(以下、HOTT MT)っていうバンドがいるんだけど、彼らはすごくいい。僕たちも大好きなバンドなんだ。彼らとは通じるものがあると思う。今レコードを作っている最中なんだけど、エキサイティングな作品が出来上がるはずだよ。彼らは、フレーミング・リップスのコラボ・アルバムに参加したこともあるんだ。

ーーアワー・オブ・ザ・タイム・マジェスティ12の魅力とは?

彼って、逃げ出した子供達がサーカスに入って、その中で自分たちの遊び仲間を作り出したって感じなんだ(笑)。サウンドも最高だし、すごくおしゃれ。『ネバーエンディングストーリー』の世界観をもっているとでもいうかな(笑)。

HOTT MT “Kat Kastle”

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