――それにしても、ファンク・アルバムにも関わらず、今回もゲストは多種多様です。ラッパーのミスティカルや、ボーイズ・ノイズ、DJジンク、ジェイムス・フォード、T-E-E-D(トータリー・イノーマス・エクスティンクト・ダイナソー)などなど、おおよそファンクとは異なる音楽性の人ばかりのような気がするのですが。

僕とは全然音楽性が違う人たちばかりだよね(笑)。でも、第一にみんな僕の友達なんだ。しかも、僕は彼らのやっていることに敬意を持っている。たとえばジェイムス・フォードにしても、彼がシミアン・モバイル・ディスコやアークティック・モンキーズの作品でやったことは素晴らしいと思うんだ。だから今回アルバムを作る中で、そういう人たちと組んでいったら、何か面白いことが起こるんじゃないか? って思って。それで彼らに声をかけたんだよ。たとえば“ダッフォディルズ”には、キーボードのシークエンス……特にモジュラー・シンセのような音を使いたかった。それだったら、そういうことはジェイムス・フォードが得意だよね?(シミアン・モバイル・ディスコの新作『ウァール』はモジュラー・シンセ2つとシーケンサー2つ、ミキサー1つのみを使用した作品)。そうやって曲ごとに色んな人に来てもらって、得意なことを作品に反映してもらった。みんなそれぞれに独自のすごくいいサウンドをもっているから、それを僕のアナログ的な手法と組み合わせることで、より面白いサウンドが追究できるんじゃないかと思ったんだ。

Mark Ronson -“Feel Right ft. Mystikal”

Simian Mobile Disco -“Sun Dogs” / “Tangents” / “Calyx”(Live on KEXP)

Totally Enormous Extinct Dinosaurs -“Household Goods”

――現在も大ヒット中のブルーノ・マーズとの“アップタウン・ファンク”では、トリニダード・ジェームズの“All Gold Everything”からリリック面でインスパイアされるというアイディアも面白かったです(歌詞の《Don’t believe me,Just watch》の部分)。今後ブルーノとやってみたいことはありますか?

もともとトリニダード・ジェームズからインスパイアされるというのは、ブルーノのアイディアだった。彼はそういう意味でもすごくセンスのある人だね。で、彼のような人と仕事をしていて何が面白いかというと、「やってみるまで一体何が起こるかわからない」ということ。今回の“アップタウン・ファンク”は、彼のスタジオで彼がドラムを叩いて、僕がベースで、ジェフ(・バスカー:本作の多くの楽曲を共作した人物)がシンセで……ジャムをした中から生まれた曲だった。でもたとえばみんなが楽器を入れ替えて弾いたら、また全然違う曲が生まれていたはずなんだ。これまでもそうなんだよね。たとえばブルーノの『アンオーソドックス・ジュークボックス』(12年)に入っている大好きな曲“ムーンシャイン”は、彼とスタジオで酔っ払ってジャムをしてた時に、僕がたまたまリンドラム(マイケル・ジャクソンの“スリラー”などでも使われた 80年代を象徴するドラムマシンの名機)を使ったことから生まれた曲だったりもする。そういう風に彼との作業についてはどうなるのか予想がつかないし、そういうところが魅力なんだ。

Trinidad James -“All Gold Everything”

Mark Ronson -“Uptown Funk(Trinidad James Remix) [Audio] ft. Bruno Mars”

Bruno Mars -“Moonshine”

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