――他にも、ハーモニカから彼を連想して実際に冒頭&ラストに参加してもらったあなたのヒーロー=スティーヴィー・ワンダーや、チャカ・カーンの若い頃に声が似ていることからフックアップしたキヨン・スター、ラナ・デル・レイ作品へのプロデュース参加などでお馴染みのエミリー・ヘイニー、多くの曲で歌詞を手掛けたアメリカの作家マイケル・シェイボン(『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』でピューリッツァー賞を受賞)など様々な人が参加しているわけですが、同時に、このアルバムはアル・グリーン作品などで知られるティーニー・ホッジス、DJメディ、エイミー・ワインハウスといった故人にも捧げられています。これはなぜなのでしょう?

今回のアルバムはNY、ロンドン、LA、メンフィスでレコーディングされているんだけれど、ティーニー・ホッジスはメンフィスに行った時、(使用したメンフィス・ソウルの名門〈ハイ・レコード〉のロイヤル・スタジオに)彼がよく来ていたから、当時の話を色々訊いたり、今回の作品にもギターで参加してもらったんだ。彼はアル・グリーンの作品なんかでギターを弾いた伝説的なミュージシャンであり、“ラヴ・アンド・ハピネス”や”テイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー”のようなヒット曲を書いた人だよね。でも残念ながら去年他界してしまったことが、僕はすごく残念だった。そしてDJメディは、ダフト・パンクやカシアスのようなフレンチ・エレクトロのシーンの重要な人だけど、同時に本当に近しい友人で、3年前に亡くなってしまった(自宅の崩落事故)。そしてエイミーも、今の僕が音楽シーンにいられるきっかけを作ってくれた人だよね。彼女がいなければ、僕はここにはいなかったと思う。だから、今回こういう(原点回帰的な意味合いのある)作品の中で、僕が敬愛するそうした人々に作品を捧げようと思ったんだよ。

Al Green -“Love and Happiness”

Amy Winehouse -“Rehab”

――では逆に、今興奮している新しい音楽やアート作品のようなものはありますか?

今回のアルバム自体でも、いわゆるソウルやR&Bといった黒人音楽=僕のルーツに回帰しているのは間違いないんだけれど、新しいことにも挑戦しているよね。“アップタウン・ファンク”にしても、“ダッフォディルズ”にしても、ただクラシックなだけではなくて、同時に今ならではのモダンなアレンジを加えてる。というのも、僕は生楽器やスタジオ・ミュージシャンを起用して音楽を作ることが多いけれど、同時にハドソン・モホークのようなプロデューサーも好きだし、ケンドリック・ラマーの最新作も大好きなんだ。だからそういったものにも知らず知らずのうちに影響を受けて、お互いに刺激しあっている部分があると思うな。

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――もちろん、あなたはプロデューサーとしても様々なアーティストの作品を手掛けています。最近ではデュラン・デュランやポール・マッカートニーの楽曲を手掛け、今年リリース予定と言われるラナ・デル・レイの作品に参加しているとの情報もありますが、自分の作品とプロデュース作品では、どう向き合い方が違うのでしょうか。

実はラナ・デル・レイのアルバムには参加していないんだ。ネットに上がっているだけで、あれは間違った情報なんだよね(笑)。

――なるほど、そうだったのですか(笑)。

人をプロデュースする時は、彼ら自身にヴィジョンがあるから、それを最高の形にすることを考える。それに対して自分の作品では、自分がすべての指揮を執って、曲を書いて、色んな人に参加してもらって助けてもらう。その違いだけなんじゃないかな。

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