――お二人ともアルバムをリリースされたばかりですけど、楽曲は然りジャケットのアートワークも秀逸ですよね。電子音楽は風景を連想させる要素を含んでいると思うので、是非アートワークについても聞いてみたいのですが。

mergrim それ、会ったら絶対に聞こうと思っていたんですよ。なんでアルバムのアートワークをこういう世界にしようと思ったの?

moshimoss これは結構と色々ありますよ。

mergrim  moshimossくんの顔だよね?

moshimoss そうですね。最初はもっと気持ち悪いやつだったんですけど、思いのほか評判が悪くて。気持ち悪さを抑えて、最終的にこれに落ち着いたんですよ。タイトルになっている『endless endings』が、ループしていくようなイメージというか。要するに、ただの一部だなと思うようになったんですよね。

mergrim 一部って?

moshimoss 例えば、地震みたいなどうしようもないパワーであっさりと死んじゃうかもしれないことを経験して、俺らはいつ死ぬのかどれだけ生きるのかも分からないけど、至るところでそういったことが起こっている世界を生きているっていう。始まるも終わるも、自分の都合とは関係ないという当たり前のこと。それを儚いなあと昔からずっと思いつつも、色々と見え方が変わってきて。”endings” っていうのは、ひとそれぞれの人生を意味していたり。生まれて死ぬまでのエンディングに向かってそれぞれが生きていくという感じですね。その運命というか大きな流れというか、地球の一部という感じで…、埋まっちゃいました。

mergrim え、そう繋がるんだ?!じゃあ、これは死を意味して埋まってるの?

moshimoss いや、死体っぽくも見えるようにもしてるけど、ここから生えてくるイメージのほうが強いです。土に還って土から生まれるみたいなところもあるじゃないですか。そういう一連の意味で埋まっちゃったっていう。死んでいるようにも生きているようにも見えるっていうのと、土というエレメンツの一部でもあるというか。

【インタビュー】mergrimとmoshimossによる特別対談(後編)。お互いの制作環境、新譜、アーティスト名の由来などについて、さらにトークは深まってゆく…。 music130614_moshimoss_jk-1

――これ、撮影した場所はどこですか?

moshimoss 撮影を手伝ってくれた竹下ファミリーの家ですね。小さいデザイナーのmiltataくんとボタニカルアーティストの川村あこちゃんに地形を再現してもらって、実際に埋まって撮影したのは2月の寒い時期でした。

mergrim 今回のアルバムはnothings66から出しているよね。あのジャケはレーベルオーナー的には最初からOKだったの?

moshimoss レーベル的には、要所要所に”?”があったみたいなんですよね。

mergrim むしろ俺はそれを聞いてみたい(笑)。

Ametsub これの前の状態はもっと顔面が出ていて、目も見開いていましたよね。

――それが、もっと気持ち悪かったっていうバージョンなんですね。

moshimoss そうそう、それの評判がかなり悪くて。「何やってんの?」みたいな感じになる悪ふざけではない遊び心のつもりだったんですけど、割と普通に「気持ち悪い、怖い!」みたいな反応になってしまって。

Ametsub  moshimossには、結構トリッキーな発想が特徴としてあるんですよね。

moshimoss 〈Neguse〉でいうと、Primulaの作品みたいなつもりだったんだよね。あのユーモアみたいに、「馬鹿だなあ」って言いたくなる感じがあると思っていたんですよ。

mergrim 僕のフィルターとしてはユーモアを感じるよ。周りはそうじゃなかったんだ?

moshimoss それが嬉しいんですけど、その感想すらなかったっていう。

Ametsub はじめの画像は突っ込みすらなかったよね。

moshimoss そうそう、突っ込めない状況って最悪だなと思った。ただPrimulaに関しては、放っておくとヤバいほど性的な方向に行き過ぎちゃうというか(笑)。僕がミュージックビデオを全部編集したんですけど、「踊っているシーンの股間のアップをもう一回入れろ」とかデザイナーの渡邊が言ってきたり、「要るのか、それ?」と思いながらも面白いからいいかって感じで、そういう変態性が出てきていますね。

――moshimossさんとしてはいつものノリだったけど、身近なところとの感覚にズレがあったんですね。

moshimoss Primulaみたいなものも作っているから、分かってくれるよなっていう甘えがあったというか。勝手に分かったつもりでいたけど、ただ単に気持ちが悪かっただけっていう。

mergrim そっか。そういう経緯があってざわざわしちゃったんだね。

Ametsub それが発覚したのが<SonorSound Tokyo>二日目(2013年4月7日)の朝5時…。

moshimoss 胃が痛くなる…。

mergrim (笑)今度、ウチも〈Neguse〉にプロデュースしてもらいたいな。

moshimoss いや、それは危ういです。絶対に〈moph〉に得はないですよ。断言できます。

★インタビューまだまだ続く!
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