——将来について

村田 タイラーももちろんですが、いろんな人や面白いと思う現象にも今年は出会っていくことが目標です。具体的なことを言えば、もともとファッションが好きで美術を目指した人間としてファッションの方とコラボレーションしたりとか。

ファッションってもっと面白いはずなんですけど、日本にいるとつまらなく感じる。お金なくてつまらないことやってるって思われてるファッションが悲しい……。私自身はファッションが本当にロマンチックでどれだけ感動的でどんなエピソードがあるのかを伝えたいんですけど、今は自分の力量もないので伝えられる領域にいない。いずれは志したいです。

私は日本人の知識的・視覚的に感動することの狭さみたいなのを広げていきたいです。閉鎖的な国だし自分が生きることに必死になることは社会の構造上仕方がないことだけど、デザインをやってるともっと面白いことがこの世にはたくさんあるって思うんです。

いろいろを取っ払って、心が踊るような経験をもっとしてほしい。面白いとか楽しいとか、それこそ絵を買ってみようかな〜とか、自分の楽しみに浪費したりとか価値を見出す生活。人の気持ちは変えられると思うので、そこを変えていきたいです。

【インタビュー】skydiving magazine・村田実莉×”ゴミ”アーティスト・吉本綱彦、「空気のない」もの/ことについての二人展<NO AIR>対談(後編) reIMG_0676-1200x800

吉本 自分がやりたいことを貫いて、食っていけるようになったらいいんじゃないんですかね。時には半分嘘をつくくらいの気持ちはあったとしても、ちゃんとこいつダセェなって思われず、思われるかもしれないけど、自分がダサいとは思わないやり方で飯を食っていけるようになれば良いかなって。

——展示への想いは?

村田 今回の展示はインターネットで見れないものを出してます。自分が展示をやる上で思うことは、来てくれた方と話すことだと思ってるから話したいです! みんなのリアルが見たいし、見せに来てほしい。

吉本 僕は今回、作品展ではなくて、人とやるということに意識を強く持ちました。僕はあんまり人とやらないのでエクササイズとか、頭と手の体操のような感覚でやっているので、クオリティーとかはいつもより劣るかもしれないんですけど。そういうのも展示しても良いんじゃないかと思うし、それが見れるのが現場だと思うんです。

どう考えてものを作ってるのかは、今回逆にわかりやすくなってると思う。20代の対して売れてない画家とか、普段どういうことを考えて物作りをやっているのかなってこと知るのにいい場所になってるんじゃないかな。作品も結構安いものだとは思うので、学生とかに来てもらって試しに買ってみる、みたいなのも面白いと思います。

村田 今回はテキスタイルだけど大学で学んだこととは関係ないことばっかりして、良い意味でステップアップできたんですけど、一周回って戻って布っていう一枚のマテリアルに落ち着きましたね。しかも、今回は群馬の桐生にある工場に通ったんですよ! それで色々誘ってもらって。布とか服が好きな人にとっては面白い工場なのでそこも面白い思います!

吉本 若い人に来てもらって、若い人の反応を、考えが凝り固まったおっさんに見て欲しいなって感じですね。

村田 おっさんは結構来てくれるけどね!

吉本 生々しい展示になってると思います。音楽やってて、大きいライブハウスしか行ったことない人が、小さいライブハウスで腕利きのバンドマン達がやりたいことをやってるのを観る感覚に近いものがあるかもしれないです。整理されてないもの、その中で整理されたものとかを観れるのが面白いんじゃないかなって思います。

【インタビュー】skydiving magazine・村田実莉×”ゴミ”アーティスト・吉本綱彦、「空気のない」もの/ことについての二人展<NO AIR>対談(後編) reIMG_0673-1200x800

Profile

Minori Murata|村田実莉

1992 年東京生まれ。2016 年多摩美術大学テキスタイルデザイン学科卒業後アーティストとして活動。テキスタイルデザインのみならずグラフィックデザイン、スタイリング、空間デザインなど幅広く活動する。ファッションブランドBALMUNG2018ss のグラフィック& 空間デザインのアートワーク、アートユニットskydiving magazine としてシブカル祭。2017(PARCO) アートディレクション、Reebok & 木村カエラコラボレーション商品ビジュアルディレクションなど。

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Tsunahiko Yoshimoto|吉本綱彦

1993 年生まれ、大阪出身、京都精華大学グラフィックデザインコース2015 年卒、東京都在住。ヒップホップカルチャーに影響を受け、路上的モチーフを取り入れたサンプリングによる、リーガルでありながらにしてのグラフィティの製作を中心に活動中。CDジャケットやT-shirtなどの、ファッションや音楽に纏わるデザインワークの製作も行っている。初の個展でメインとなるモチーフは路上のゴミ。偶然が生みだす不規則な変化に新たな価値を見出し収集する行為は街のサンプリングともいえる。

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EVENT INFORMATION

NO AIR

【インタビュー】skydiving magazine・村田実莉×”ゴミ”アーティスト・吉本綱彦、「空気のない」もの/ことについての二人展<NO AIR>対談(後編) interview180219_noair_03-1200x1200

 

2018.02.19(月)〜25(日)
kit gallery

本展では本来の目的を全うしている物を(ON AIR=放送中)とし、役目が終わり使用済みのゴミや本来の用途を全うできない物を(NO AIR= 空気のない)として空気の抜けたもの、本来の目的がなくなったものをモチーフにそれぞれの作品を展示する。

空気の抜けた風船を真空パックし、本来では見ることのない形状に加工。それをまた紙袋にペインティングした作品と織物の産地である群馬県桐生にて製作した開封後の食品パッケージを混ぜた新たなテキスタイルやプロダクトを展示する予定。

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