「一過性じゃなく、後々聴いても、いいと思える曲たちが収まっているニューアルバム。」

——そんなフリーライブでも、今回の1stフルアルバム『+1』からも何曲かやりそうですね。で、そのアルバム内容ですが、これまでも見せつつ、その先のuchuu,を非常に感じさせてくれる作品印象を持ちました。

K 以前から作り溜めていた、70~80曲に及ぶデモ曲の中から選び、新たにアレンジや歌詞を書き直したのが今回の各曲なんです。なので、自分的には、これまで積み上げてきたものを一気に発表したって感覚で。古い曲になると、それこそ5年前に作った曲もありますからね。だけど、逆にそれをいま聴いたら、凄く新鮮に感じたりするんです。そういった曲の方が、一過性じゃなく、後々聴いても、いいと思える曲たちなんだろうなと、あえてそれらも入れてみました。

uchuu, “overflow” (Official Music Video)

松本 だけど、それって良いことだよね。多くの人は、最新が最良で、初期の物って黒歴史にしたがるものだけど。

K メロディが不変的な分、サウンドが新しければ今聴いても新しいし、何年後かに聴いても、メロディは不変的に残るし、響くんじゃないかなと。僕ら基本、リズムから作るので、音色を変えれば、それはそれで新しいものにしやすいところもあるし。

——今回は比較的しっとりとした曲も増えた印象も……。

K 柔らかくなったとは自分でも思います。選ぶ曲もそうだし、今のメンバーで出来る曲となると、攻める時は、もちろん攻めるんですが、それも守るものがあってのことに気持ちが変ってきて。守ったり、大切にしているものがあるが故に、攻めたり、前のめりになったりしている、なんかそんな作品かなって。

——その攻め方も変わってきた印象を受けました。今回は、より生感にもこだわっているような……。

K 生感は意識しました。今まではシーケンスやエレクトロニカな部分をメインに、そこにバンドの音を肉付けしていくスタイルだったのに対して、今作では、例えシーケンスがなくバンドだけでも演奏が出来るスタイルに移したんです。言い換えると、バンド演奏の上にエレクトロニカやシーケンスのエッセンスを乗せたり、ブレンドしていったりした、これまでと逆の作り方をしたのが今作なんです。なので、ベーシックの骨組みはドラムとベースでキチンと作ったし、人間のグルーヴ感、そこに一番の重きを置きました。

芸術的新瞬間はいつも現場から現れる!uchuu,とその音楽をデザインしビジュアル化する鬼才たち!! interview_160602_uchuu_3

——分かります。今回は躍動感がこれまでよりも格段に上がっています。

K スウィングさせている曲もありますからね。

——そこに至ったのには何か理由でも?

K 心境や意識の変化ですね。これまで自分の中でどうしても、「uchuu,というバンドは、スタイリッシュでなくてはならない!」と決め込んでやってきたところがあって。いい意味で、今はそれが無くなったんです。それよりも各人の人間性の尊重や、自分たちの内面も出したいなって。いわゆる、綺麗なものを作るよりも、感動するものを作ろうと。だから今作では、よく聴くとミスっている箇所もあるんです。だけど、そっちの方がより感動させられるだろうと思えたんで、あえて録り直さず、そのまま残したりしています。それら聴いた人が何をどう感動するか? その辺りに重きを置いて、各曲のアレンジはしていきました。

芸術的新瞬間はいつも現場から現れる!uchuu,とその音楽をデザインしビジュアル化する鬼才たち!! interview_160602_uchuu_8

——その感動ポイントはKさんお一人の?

K いや、メンバー全員です。メンバー5人、それぞれが違った感動ポイントを持っていますからね。一概に一緒じゃない。そんなところも、今回は面白くて。一人ひとりが持つ、それぞれの違ったカッコ良さ、それらが収まっていた方が、よりカッコイイと思ってくれる方も多いでしょうから。

——今作の聴きどころを教えて下さい。

K ラストの“Yellow”でしょう。

——それは?

K 僕らメンバー全員、この曲が大好きなんです。これまでずっとやりたかった音楽性でもあったし、みんながかっこいいと思える曲は、やっぱりかっこいいと再確認出来た曲でもあるんです。この曲に至るまでに色々と試行錯誤やトライアルがありましたからね。そういった意味では、まさに自分たちにとって珠玉の1曲でもあるんです。この曲は、それこそ幅広い、そんなに音楽に精通していない人でも楽しめる音楽だと自負しているんで。それを最後に入れれたし、そこに向かって各曲が成立している感じがまたいいかなと。

【uchuu,】 「Yellow」 BOMBER-E LIVE

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