——これまでの4作品は全てアルバムごとに方向性がはっきりしていて、言い変えるとそれぞれの作品同士には特にリンクがなかったんですが、今作は聴いているとたとえば1stのリズミカルさと言葉数の多さ、2ndのビート構造の冒険、3rdのヘヴィさ、4thのサイケデリックさと甘さというように、これまでの全ての作品の要素を併せ持って、そこに今のあなたたちならではの演奏力とセンスのいい曲構造とアレンジを加えた、一つの集大成のような印象すら受けました。過去の自分たちを織り込む、というのはどれくらい意識的でしたか? 

アレックス そうだと思う。アルバムを作る度に成長っていうか進化があって、そこには過去の作品の一部が少し存在してるっていうか、その進化の中に存在し続けてるんだ。俺達が作ったこれまでのどのアルバムにも、過去の感覚が一部存在してるのは事実だ。

——具体的に、作り始めた時期はいつだったんですか? ”R U Mine?”がアルバム作りのスタートとなったということですが、この曲を2012年2月にリリースした頃には、アルバムの方向性は見えていたということですよね? アルバムのレコーディングは、いつ始めたんですか?

アレックス 昨年9月頃からだよ。そう、ジョシュア・ツリーのランチョ・デ・ラ・ルナでね。あそこまで行って、曲作りしてレコーディングして、実験してたわけだ。

——完成はいつごろしてたんですか?

アレックス 最後のタンバリンをレコーディングしたのは、2週間くらい前かな。 

——前作『Suck It And See』は、録音に入る前にバンドでしっかり練習して仕上げ、録音自体はシンプルにやったという話をしてくれました。今回は、曲の作り方、レコーディングの方法というプロセス面で、これまでとはどういう違いがありましたか?

アレックス そうだな、今回は対照的な方法でやったんだ。スタジオで曲作りした。ロサンゼルスにあるスタジオを長期間レンタルして、この半年間はそこが俺達の家みたいなもんだった。毎日スタジオに行って、曲を書いて、いろいろと試してみて、数週間は4トラック・カセット・レコーダーで曲作りをしていた。大抵、例えば、ジェイミーが持ってたリフをベースにしたり、マットが持ってたドラムのアイデアを基にインストルメンタルをレコーディングしていた。そのレコーダーにラフなレコーディングを入れておいて、そこに入ってたインストに合わせて歌詞やメロディーを書いてたんだ。それで、その後は・・・そういったデモからアルバムは出来てるんだよ。収録曲のほとんどは、そういったデモから数えて4番目や5番目のヴァージョンとなっている。何度も試行錯誤して行き詰まって、近道を見つけたり、よくわからないけど、まあ、前作とは正反対のやり方だった。

——そのやり方をしてみようと思った理由は?

アレックス それは・・・スタジオに入ってみたはいいけど、何も感じなかったんだ。何もしないでいて、前回と一緒に感じた。ちょっと退屈な感じで、何も起こらなかった。それで、ちょうど俺の誕生日に4トラックをもらったばかりだったから、それを使っていろいろと実験してみたら、突然、エキサイティングになって、自分達がオリジナリティのあるものを創り始めたんだ。それと、そういう曲作りはシンプルだから、すぐに何かしらを得られるっていうか、複雑にしなくてすむことで満足感を得られるんだ。このアルバムの構成とか、後は、そうだな、もしかしたらアレンジとか、単純な作りになってると思う。でも、とにかく、ひとつのリフに沿って1曲すべてを書いてたんだ。