——”Do I Wanna Know”のように四つ打ちのビートで進む曲があり、”Fireside”でドラムンベースとチルウェイヴが繋がり、そして”Kneesocks”のドラムとギターの響き方はソウルとエレクトロニカが合体したようだったり、他にも様々な曲でコラージュ風に音が差し込まれているなど、ダンス・ミュージックの要素が初めてあなたたちの曲に加わった、とも思います。明らかにビートの冒険が行われていますが、これには、何かそうさせるきっかけがあったんでしょうか。

マット  それは、多分、そういったレコーディング過程から来てるんだと思う。4トラックでレコーディングした最初の曲は、ただ演奏してるだけで、俺が3分間演奏してるだけのもので、同じ演奏を繰り返してたんだ。アレンジで最初から行き詰まるようなことにはなりたくなかったからね。それで、何か曲を合わせて書けるようにループを作ったりしていた。アレックスがそれに合わせて歌ったり歌詞を書けるように、リフか何かを書けるようにね。でも、結局は、幾つもの違ったパートを重ねずに、そのままのサウンドの方が良かったんだ。没頭できるようなループだ。ずっと途切れることがないからね。だから、そういったプロセス、俺達がデモとかを作った方法が影響して今回のビートが出来たり、いままでとは違う演奏になってるんだと思う。俺達のレコーディング・スタイル、レコーディング方法が影響してるんだ。ドラム・フィルを2秒ごとに入れるよりも、それを面白いものにする方法を見つける方が重要だった。特に何かをやってるわけではなくても、いつもよりよく考えないといけなくてさ。いろいろと入れずに省いた状態にしておくのも、時には重要なんだ。そういうのがサウンドに影響してるのは確かだと思う。ダンス・ミュージックとかって、おそらく、ビートを作った後、しばらくそれをただコピーしてペーストしてるんだ。だからって、それが簡単なわけじゃないんだけど、そういったことを俺達もやってたんだ。ただループを演奏していた。といっても、興味深い方法でだけどね。

——前作を作っていたときは、ガールズの作品をよく聴いていたとアレックスは前に教えてくれました。では、今作を作るときにはダンス・ミュージックなどは聴いてたんでしょうか。もしノーだとしたら、他に特によく聴いていた作品はありますか? 

アレックス うーん、そうだな、半分は俺達がツアー中に楽屋とかで毎日聴いてるようないつもの音楽に影響されてると思う。俺達が一緒になって聴いてるような音楽の半分は、ブラック・サバスとかキャプテン・ビヨンドとか、後、The Groundhogsとかいったバンドで、『Split』とか(訳注:The Groundhogsのアルバム )、そういった70年代のロックだ。今回のアルバムが影響を受けてる残りの半分は、例えば、アウトキャストとか・・・もっとコンテンポラリーなR&Bにも影響されてて、ああいったメロディーとか、そう、ああいったものの多くにも影響されている。そういった音楽のミックスなんだよ。それ以外にも・・・俺が夢中になったアルバムがあって、マイケル・チャップマンっていう男性アーティストで、アルバムは『フリー・クオリファイド・サバイバー』で、ムードが・・・俺はこのアルバムの歌詞に凄く共感してさ。それが、今作の歌詞にかなりの影響を与えてるんだ。他にも、いろんなものを取り込もうとして、でも・・・ちょっと『トランスフォーマー』みたいな汚さっていうか、あのアルバムは少し・・・薄汚い感じがある。ああいったクオリティも欲しかった。それで・・・だからと言って、そのどれとも同じサウンドにはしたくなかった。そうなってるとは思わないけど、どこかしらにそういった影響は入ってると思う。

The Groundhogs “cherry red” (アルバム『Split』より)

——今回はRoss Ortonもプロデューサーとして名を連ねています。ジェイムス・フォードとRossは、どういう風に役割を分担していたんですか?

マット  ロスは”R U Mine”を単独でプロデュースしてくれてて、俺達がシェフィールドで彼と作業してる時にこの曲をプロデュースしてくれたんだ。ジェイムスとはこれまでもずっといろんな形で仕事してきてるから、二人が一緒にプロデュースしたらどうなるかみてみることにしたんだよ。ロスは素晴らしいドラマーでもあって、そういったバックグラウンド出身だから、ドラム・サウンドやそういった面を扱うのは凄く上手いんだ。二人ともかなり違ったスタイルだけど、間違いなく上手くいくコンビだ。