10年代以降の音楽シーンに生まれた最大のトレンドと言えば、ダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』を起点にして巻き起こった未曽有のディスコ再評価。数年前から水面下で起きていたディスコ~ブギーへの注目を音楽シーンのど真ん中に連れ出した彼らの功績によって、ディスコはふたたび世界各国を巻き込む一大ムーブメントに。その中にあって、仏〈エド・バンガー・レコーズ〉から10年にデビューしたブレイクボットは、ヒップホップやエレクトロを通過したフレンチ・ディスコでその機運に先鞭をつけた重要人物のひとり。そんな彼の2作目『スティル・ウォーターズ』が、ついに完成! 今回は世界に広がったディスコ再評価を振り返りつつ、ブレイクボットの最新モードをまとめてみました。

Daft Punk – Get Lucky

“ゲット・ラッキー”以降のディスコ再評価はこんなにすごかった。

フランスのダフト・パンクが“ゲット・ラッキー”を大ヒットさせた後、それを加速させたのは何と言ってもアメリカのポップ・シーン。同曲のヒット以降、全米では“ゲット・ラッキー”に参加したファレル・ウィリアムスを筆頭にブルーノ・マーズ、メイヤー・ホーソーン&タキシードらによるディスコ~ブギーを取り入れた楽曲が次々に大ヒット。カナダからもデビュー以来ディスコ・ブギーを追究してきたクローメオも本格的にブレイクを果たし、北米は空前のディスコ・ブームに。そもそもディスコとは、第二次大戦後ナチス=ドイツの占領下となったフランスで生まれた「ラ・ディスコティーク」が北米大陸に渡って発展したもの。そう考えると、10年代もフランスからアメリカへとバトンが継がれていくのはディスコの必然なのか……?

Pharrell Williams – Happy

Bruno Mars – Treasure

Tuxedo – Do It

Chromeo – Jealous(I Ain’t With It)

一方、イギリスでは00年代を通じて人気を拡大したダブステップのオリジネイターのひとり、スクリームも突如ディスコ・トラックを発表。ハーフステップもなければワブルベースも鳴っていない、キラッキラのディスコ・サウンドに多くの人が腰を抜かす事態に。また、より上の世代ではアシッド・ジャズの代表格ブラン・ニュー・ヘヴィーズのサイモン・バーソロミューもディスコ・プロジェクトJBZで『アイ・ディスコ』をリリース。クラブ・ミュージック寄りの磁場からは北欧コズミック・ディスコの大本命ことノルウェーのトッド・テリエが、ナイル・ロジャース直系のカッティング・ギターも顔を出す『イッツ・アルバム・タイム』を発表し、ディスコはヨーロッパでも勢いを増すことに。

Skream – Rollercoaster ft. Sam Frank

JBZ featuring Jocelyn Brown – Don’t Lose Control

Todd Terje – Delorean Dynamite

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