ラフォーにして今更ながら『エヴァンゲリオン(以降、エヴァ)』にハマっている・・。謎の大災害”セカンド・インパクト”後の日本を中心とした世界を舞台に、巨大な人型兵器”エヴァ”のパイロットとなった14歳の少年少女たちと、新たなる首都、第3新東京市に襲来する謎の敵=”使徒”との戦いを描く庵野秀明監督の有名アニメーションである。当時はその斬新なストーリーが物議を醸して社会現象にまでなり、周りがどんなに騒ごうが見向きもしなかったのが、とある取材で観る機会を得てから10日間余りでテレビ版~劇場版まで一気に観て完全に虜になってしまった・・。

そうか、エヴァの舞台は2015年、、時はもうすぐ2014年になろうとしている。”セカンド・インパクト”はもうすぐなのか・・。そんな時期に突如、エヴァでいう”使徒”の如く現れたのが、ブリアルの『ライヴァル・ディーラー』と題されたこの新曲3曲達である。これまた”使徒”の如く謎の多きブリアルのサウンドも”エヴァ”の舞台のような退廃した近未来の情景が非常に良く似合う。傑作アルバム『アントゥルー』(07年)以降、彼が鳴らしたそのサウンドがその後のジェームス・ブレイクを筆頭に様々な枝葉を伸ばしたが、当の本人は地下都市=ジオフロントに潜るかのような活動を続け、1曲10分以上に及ぶ聴く者を選ぶかの如きA.T.フィールド(使徒やエヴァ、人類を含む全ての生命体が、他者を拒絶し自己の肉体や精神を保持する為に有する能力)全開なシングル群をリリース。そのリリースの裏に果たしてブリアルは本当に実在するのか? 使徒ではないのか、、いや基、他の誰か(フォー・テットやコード9等)なのではないだろうか? など物議を醸す。多くを語らずに憶測を喚起するところもエヴァに通ずるではないか!(エヴァを知らない人はゴメンネ!)

この『ライヴァル・ディーラー』の3曲は今までのブリアル・サウンドとはひと味も違うインパクトがある・・、そうまさにセカンド・インパクト級である! ファースト・チルドレン、、いや1曲目“Rival Dealer”は暴走からの覚醒の曲。例えるならばこれは対ゼルエル戦のBGMだ。現れる最強の使徒(=敵)ゼルエルに対しエヴァ弐号機と零号機の迎撃も空しく通用せず、トラウマを引きずり出遅れた主人公=碇シンジが乗る初号機の”覚醒”によって殲滅・捕食されるのだが、そんなエモーショナルからなる暴走からの覚醒、その覚醒に向かう疾走感がこの曲に宿っている。恍惚感が溢れるピアノの旋律が印象的な2曲目の“Hiders”。これをエヴァで言えばピアノ=渚カヲル、全てを達観するがどこか悲しげな彼が荒廃したジオフロントで恍惚とピアノを弾いている姿が思い起こされる曲である。3曲目の“Come Down To Us”なんかはその名の通り=光臨である。サード・インパクトによる「人類補完計画」の下りのクライマックス! その遂行と問いに対するBGMとして本当に相応しい~。ハアハア・・。そういや「ブリアル」って名前すら使徒にいそうな名前やな。。

『エヴァ』を知らん人にとってはなんのこっちゃ、知っている人には「バッカじゃないの〜」と言われるであろう、このレビュー・・。解って欲しいのはブリアルのアルバム、EP作品、それぞれには組曲のような叙情性がある。恍惚と至福、そしてそこに向かった彼の覚醒が強く感じ取れる今作『ライヴァル・ディーラー』は、現時点でのブリアルの”進化の結晶”だと思う。もちろん彼の真骨頂であるR&Bのサンプリングとざらざらとしたノイズ・コラージュ、昔から変わらないジャングルや2ステップへの偏愛とアンダーグラウンドなイズムはそのまま。レイブへの至福とレクイエム、今回はそこに加えてパンキッシュなインダストリアルさが融合した雰囲気が漂う。どこかの退廃した世界のレアリズムがエヴァとシンクロしてしまったのだろうか・・。謎は深まってゆく彼はこの先、一体どこに向かうのだろう、早くフル・アルバムが聴きたいトコロである。ブリアル・ファンはもちろんだが、ぜひ『エヴァ』ファンも絶対聴くベキ!!

(text by Qetic・ダブルビー)

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