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小山田圭吾によるソロ・プロジェクトであるCornelius(コーネリアス)の全国ツアー<Mellow Waves Tour 2017>。日本武道館で開催された、BECK(ベック)の公演にもスペシャルゲストとして登場した彼らの、東京・新木場 STUDIO COASTのライブレポート。

小山田圭吾によるソロ・プロジェクトであるCorneliusが、今年6月にリリースした通算6枚目のアルバム『Mellow Waves』を引っさげ、10月より全国ツアー<Mellow Waves Tour 2017>をスタート。中日(なかび)となる10月25日(水)、26日(木)には、東京・新木場 STUDIO COASTでライブを開催した。なお、先だって10月23日(月)に日本武道館で開催された、BECK(ベック)の公演にも彼らはスペシャル・ゲストとして登場し、両者のファンによる熱い歓迎を受けたばかりである。

【ライブレポ】コーネリアス<Mellow Waves Tour 2017>。演奏と映像美で、時空を超えてオーディエンスを誘う cornelius_feature4-700x467

筆者が観たのは2日目の公演。定刻を10分ほど過ぎると正面のスクリーンに「Hello, Everyone Welcome to Mellow Wave」の文字が浮かび上がり、“あなたがいるなら”をパラフレーズしたオープニング・ナンバーが鳴り響くと同時に、会場からは大きな歓声が沸き起こった。

すかさず幕が切って落とされ、横一列に並んだメンバーが現れる。ステージ左より堀江博久(Gt, Key)、あらきゆうこ(Dr)、小山田圭吾(Vo, Gt)、そして昨年の米国ツアーから加入した大野由美子(Ba)の4人。衣装も楽器も、全てモノクロで統一されたステージは、生と死(陰と陽)を行き来するようなアルバム『Mellow Wave』の世界観を象徴している。1曲目は“いつか/どこか”で、映画『2001年宇宙の旅』の、スターゲートを通り抜けるシーンのような映像と、ボサノヴァ+ドラムンベースな演奏とが寸分たがわずシンクロし、一気にコーネリアス・ワールドへと引き込まれていく。

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ライブ前半は、サード・アルバム『FANTASMA』以降の代表曲を満遍なく演奏し、中盤からはいよいよ最新作を中心としたメニューへ。レコーディングでは、小山田の親類であるミキ・ベレーニ(元Lush)が参加した“The Spell of a Vanishing Loveliness”を、大野のボーカルにて披露。不思議なコード展開とハーモニーを持つ楽曲の世界観が、甘い悪夢のような映像によってさらに広がっていく。また、自分が死んだ後の世界を歌う“未来の人へ”では、猫をモチーフとした可愛らしい映像が映し出され、楽曲の儚さ、寂しさをかえって引き立てていた。

この日のハイライトは、インストゥルメンタル曲“Surfing on Mind Wave pt 2”で訪れた。渦巻く波の映像がバックスクリーンに延々と映し出され、次から次へとレイヤーされていくアナログシンセが洪水のように押し寄せる。そして、切れ目なく点滅し続ける激しいストロボに身を委ねているうち、まるで全ての感覚が境界線を失ってしまったような、そんな錯覚に陥ってしまう。それは今から4年前、奇しくも同じ場所でMy Bloody Valentine(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)によるノイズピット(“You Made Me Realise”の間奏部分)を浴びた時の感覚を思い起こさせるものだった。

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まるでプリファブ・スプラウトのように、美しくも切ない楽曲“夢の中で”を経てラストスパートへ。クラウトロック調の“Beep It”、粘り気のあるファンキーなベースラインが印象的な“Fit Song”、堀江、大野、小山田の3人が、1音節ごとにボーカルを取る“Gum”と、前作『SENSUOUS』からの楽曲が並ぶ。“Gum”や“Drop”、“Point Of View Point”などコーネリアスの楽曲には、コーラスがメインボーカルと同じくらい、アンサンブルの中で不可欠な要素となった楽曲が多い。実験性とポップネス、そしてコーラスワークを重視しているのは、彼らがThe Beatles(ビートルズ)から強い影響を受けている証と思えてならない。

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“21世紀の「グッド・ヴァイブレーション」”ともいうべき“Star Fruits Surf Rider”では、巨大なミラーボールに色とりどりの照明を当てて、この上ない多幸感を演出。最後は最新作から、リード曲“あなたがいるなら”を演奏した。全ての楽器のタイミングを微妙にズラしたモワレのような音像の中、官能的でソウルフルな小山田の歌声と、ジャズでもブルースでもロックでもない、もはや“小山田印”としか言いようのないギター・ソロが鳴り響く。アンコールでは“Breezing”、“Chapter 8”、そしてBuffalo Daughterの“Autobacs”のような、不穏なイントロから始まる怒涛のノイズロック“E”で、この日の演奏は全て終了した。

演奏、映像、そして照明を完璧にシンクロさせ、時空を超えて「いま、ここ」から「いつか、どこか」へとオーディエンスをトリップさせるコーネリアス。今宵はその集大成を見せつけられた思いだ。

【ライブレポ】コーネリアス<Mellow Waves Tour 2017>。演奏と映像美で、時空を超えてオーディエンスを誘う cornelius_feature5-700x467

RELEASE INFORMATION

MELLOW WAVES

2017.06.28(水)
Cornelius
WPCL-12660
¥2,800(+tax)


詳細はこちら

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photo by 棚橋亮
text by 黒田隆憲

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黒田隆憲

黒田隆憲

ライター/カメラマン

ビートルズとマイ・ブラッディ・ヴァレンタインとビールをこよなく愛するフリーランスのライター/カメラマンです。2013年のマイブラのツアーでは、世界唯一のバンド公認カメラマンとして世界中を回りました。共同編集に『シューゲイザー・ディスク・ガイド』、『ビートルズの遺伝子ディスク・ガイド』。著書に『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』、『プライベート・スタジオ作曲術』など。

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