今フランクフルトがおもしろい。高層ビルの隙間で構築されるアンダーグラウンドカルチャーを探る music190118_frankfurt_01-1200x800

金融都市として知られるフランクフルトには、世界に誇る有数クラブRobert Johnsonが存在するという違った顔も持つ。(正確にはフランクフルトではなく隣都市のオッフェンバッハに位置する。)数こそ多くないがそれ以外にも幾つかのローカルクラブが存在し、Robert JohnsonのオーナーでありDJのAtaが2年前にオープンさせたバーampも週末は不定期でパーティーが開催されるちょっとしたクラブとなっている。私たちが訪れた土曜日もタミングよくフリーパーティーが開催されており、夜の11時前という早い時間にも関わらず店内は満員状態になっていた。DJは当然といった慣れた手つきでヴァイナルオンリーでプレイしており、天井の四隅に設置されたMartin Audioのスピーカーから太くて上質なサウンドが波のように伝わってきてとても心地良かった。普通のバーとは思えないクオリティーの高さとこだわった内装も素晴らしい。

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この日には、Robert Johnsonのレジデントでプレイ前のLauerも来ており、DJやスタッフと挨拶を交わしているのを見かけた。土曜の夜早い時間にampのようなローカルに密接した最新スポットに集まり、挨拶を交わし、そこからまたそれぞれの持ち場へ向かう。これがフランクフルトのローカルコミュニティーのスタイルであり、ベルリンではあまり見ない光景がとても新鮮だった。それと同時にどこか懐かしく思ったのだが、洗練された雰囲気と顔見知りが一堂に集うスポットというのが東京のシーンと似ていたからだ。フランクフルトのローカルカルチャーシーンを知りたかったら、まず週末にampを訪れ、どんな人たちが集っているかを知ることからお勧めしたい。

今回紹介したいアーティスト集団das blumenとの出会いもampである。外のベンチに座っていた彼らのファッションセンスとルックスの良さに引き寄せられ、写真を撮らせてもらったのをきっかけに彼らの活動を知った。
彼らはフランクフルトを拠点に、イベントのオーガナイズ、ファッションブランドのプロデュース、エキシビジョンなどを行っており、ちょうどこの日もフランクフルト市内中心地に位置するSilbergoldで開催するイベント前にampに寄ったようだ。

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Silbergoldは裁判所の駐車場のグランドフロアー(0階)というユニークなロケーションで、das blumenのような若手ローカルDJを中心としたインディペンデントなパーティーから国内外で活躍しているThomas Hammannなどもプレイしており、客層もオシャレで感度の高い20代が多い。次世代による新しいシーンがここから生まれているのだと感じた。

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「フロアーは150人ぐらいのキャパですが、Funktion-oneが搭載されていて音の鳴りも良かったです。この日はテクノ中心のパーティーでしたが、amp同様にDJ陣のほとんどがヴァイナルでプレイしていたのが良かったです。彼らだけでなく遊びに来ていた友人、知人もオシャレな人が多くてフランクフルトの今のトレンドを知れました。外は雪が降っていたにも関わらず、パーティーは2時半ぐらいがピークでほぼ満員状態、さらに3時過ぎからも本気で踊りたい人がやってきて終始盛り上がってました。」
パーティーの撮影に入っていたフォトグラファーの原田氏もこう語る。

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フランクフルトの20代のファッションは、ドイツ人の長身を活かした洗練されたストリートカジュアルという印象を受けた。das blumenクルーのファッションがそのまま街のトレンドを代表しており、フランクフルトにおける”シティーボーイファッション”を知ることが出来てとても興味深かった。同じくオシャレだったのがレコードショップGOSUのスタッフやお客さんである。

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同店は94年にオープンした今は亡き伝説のレコードショップ「FREEBASE Records」のクルーであり、GOSUの看板アーティストでもあるManuel SchatzとPhil Evansによって設立されたまだ新しいレコードショップ兼レコードレーベル。店内はテクノ、ハウス、ディスコをはじめとするダンスミュージックの中古レコードをメインに取り扱っており、店内の壁にはアーティストによる絵が飾られており、音楽とアートの両方を楽しめる空間になっていた。また、ManuelはヴァイナルオンリーのレーベルHard Work Soft Drinkのファウンダーでもあり、レーベルナイトをRobert Johnsonで行っている。

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GOSU

他にもフランクフルトのクラフトマンシップを代表するバッグブランドairbag craftworksが年2回開催しているイベントに、das blumenクルーのJonasがDJで参加していたり、GOSU、ampも関わっているというものすごい密着っぷりである。同イベントはフランクフルトを拠点とするショップやブランドが多数出店するイベントとして定評があり、ローカルカルチャーの最前線を知ることが出来ると言えるだろう。
ドイツ人コミュニティーの中で唯一活躍している日本人と言える友人の堀川氏が運営するコンセプトストアN STORE.も出店しており、日本の職人が手掛けたファッションやライフスタイルブランドを厳選して紹介しているので是非ともチェックして欲しい。

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N STORE.

その地域の最先端カルチャーを知るには、最新のレコードショップ、ローカルクラブ、ローカルファッションブランドは絶対に欠かせないと言える。メイン通りより裏通りにあるような隠れ家的店舗、必要最低限の情報しか出していない外観、ロゴデザイン、店内の内装、オリジナルグッズ、セレクトしているグッズなどを見れば、その店がどういうテイストでその地にどのように密着しているか分かる。
一連の流れを見てもらえば分かるように、フランクフルトを代表する面白いカルチャーは全て横の繋がりから出来ている。”オシャレな人の友達はみんなオシャレ”と言った具合にまさに”類は友を呼ぶ”のだ。音楽、ファッション、アートにおける感度の高い人たちがそれぞれ小さなコミュニティーを築いてるフランクフルトのアンダーグラウンドシーンに今後も目が離せない。日本へ上陸する日も近いことだろう。

Photo : Atsushi Harada, Kana Miyazawa
Special thanks:Yoshihiro Horikawa(N STORE.)

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

フリーランスライター/コラムニスト

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