16個のボタンは「メロディック・セクション」と「ドラム・セクション」に分かれている

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本製品の「1~16」のボタンは、「1~8」の「メロディック・セクション」と、「9~16」の「ドラム・セクション」の2つに分かれていて、どちらにサンプリングしたかで、音の使い方が変わってきます。

「メロディック・セクション」に音をサンプリングした場合は、ワンショットのサンプルを、「1~16」のボタンを使って音階を付けて演奏する事ができます。

「ドラム・セクション」にサンプリングした時は、「1~16」のボタンに、スライスされてバラバラになったサンプルが順番アサインされ、ドラムパッドのように演奏する事ができます。

ワンショットのサンプルに音階を付けてフレーズを打ち込みたい時ってあると思います。その場合は、サンプルをどの音程で鳴らすのか選んでから、ステップ・シーケンサー上に一音ずつフレーズを打ち込む方法があるので、それをご紹介したいと思います。

「メロディック・セクション」で音階のあるフレーズを打ち込む方法

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最初に「メロディック・セクション」に保存したサンプルから好きな音を選び、どのようなフレーズにするかを「1~16」ボタンを適当に演奏して決めます。例えばそのフレーズが「8」、「5」、「3」という音階だったとしますよね。

まずは「8」を入力したいので、「8」ボタンを押して鳴らします。次に「write」ボタン+「play」ボタンを押し、録音再生モードにして16ステップ・シーケンサー上で「8」を鳴らしたい位置を押すと、そこに音階の「8」が入力されます。

一度「write」ボタン+「play」ボタンを押し、録音再生モードを解除します。次に入力したい「5」ボタンを押して鳴らします。再び録音再生モードにして、シーケンサー上の「5」を鳴らしたい位置を押して「5」を入力します。

もう一度、録音再生モードを解除し、「3」ボタンを鳴らします。先程のように録音再生モードにして、シーケンサー上の「3」を鳴らしたい位置を押して「3」を入力すれば、パターンの中に「8」、「5」、「3」の音階の付いたフレーズを打ち込む事ができます。

「ドラム・セクション」もこれと同様に、録音再生モードを解除して、スライスしたサンプルの中から鳴らしたい音を選び、もう一度録音再生モードにして一音ずつドラムを打ち込んでいきます。

筆者も最初のうちは間違える事が多かったのですが、慣れて来ればそれ程難しくないです。「write」ボタンで録音モードのオン・オフをする時に、意識的に画面の四角いマークの有無を確認しながら操作すると間違いが少なくなります。

あえて音階は打ち込まずに、ライブでボタンを指で弾いてパフォーマンスするのも効果的だと思います。

2つのノブで、サンプルのスタート・エンド・ポイントや、ハイパス・ローパス・フィルターなどを調節できる

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本製品は6つのパラメーターがあり、「ノブA」、「ノブB」を使ってそれらを調節します。「FX」ボタンを押す度に、「tri」、「ton」、「FLt」という文字が画面右上に表示されます。

「tri」はトリムです。「ノブA」を回して、サンプルのスタート・ポイントを決め、「ノブB」でサンプルのエンド・ポイントを決めます。

「ドラム・セクション」にサンプリングすると、ある程度アタックが強い箇所で自動的にサンプルが細切れになり、「1~16」ボタンにスライスされた波形がアサインされますが、波形の切れ方はあくまで大雑把な印象です。それを元にトリム機能を使って手動でスライス・ポイントを調節すれば、より思い通りにスライスできます。この作業は、液晶画面の下の方に表示される小さなメーターと耳を頼りに、ノブを少しずつ回してスタート・エンド・ポイントを調節します。細々した作業ですが結構楽しいです。

「ton」はピッチとボリュームの設定です。「ノブA」はピッチ、「ノブB」はボリュームを設定します。

「FLt」はフィルターです。「ノブA」はハイパスとローパスのフィルター、「ノブB」はレゾナンスを設定できます。サンプルごとにフィルターで余計な帯域をカットしたり、音色によってはレゾナンスを強調したりすれば、本製品を単体で使うとしても、パターンを鳴らした時に音が明確に聴こえるので、ぜひ使いこなしたい機能です。

パターンを再生して「write」ボタンを押しながら「ノブA」、「ノブB」を動かせば、今選択しているパラメーターをロックする事ができます。ロックできるパラメータはハイパス・ローパス・フィルター、レゾナンス、ピッチ、ボリュームです。ある程度打ち込みが進んできた時に、曲を再生しながらサンプルのボリューム・バランスや、フィルターのかかり具合などを整える事ができます。

また、録音再生しながら「write」ボタンを押して「ノブA」、「ノブB」を動かせば、今選択しているサンプルのパラメターをオートメーションのようにパターンに記録する事ができます。フィルターの動きなどをパターンに記録してやれば、音が変化するカッコいいフレーズが作れます。

オートメーションを消したい時はパターンを録音再生しつつ「write」ボタンを押しながら、動かしたノブを指で程よい位置に固定して、ワンループ上書きしてやればOKです。

スライスしたサウンドの一つを、別の「ドラム・セクション」にコピーできる

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「9~16」ボタンが「ドラム・セクション」になっていると先にも書きましたが、スライスしたサウンドの一つを別の「ドラム・セクション」にコピーする事も可能です。例えば「ドラム・セクション」の「13」番に保存されたサウンドの、「1」番目にスライスされている音を、「ドラム・セクション」の「9」番にコピーしたい場合は次のように操作します。

まず「ドラム・セクション」の「13」番を選択します。そして「write」ボタン、「sound」ボタン、「9」、「1」、という順番に4つのボタンを続けて押します。

「write」、「sound」は、これからサウンドをコピーしたいよという合図で、「9」は、9番目の「ドラム・セクション」に向けて、という合図、「1」は、1番目の音を、という合図と覚えれば間違えないと思います。

別々の「ドラム・セクション」にスライスした幾つかの気に入ったサウンドを、一か所にまとめたい時に使えると思います。

最大で128個までパターンを続けて再生できる

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元のパターンと似ているけど少しだけ違うパターンを作りたい時ってありますよね。そんな時は、まず元となるパターンを選びます。そして「write」ボタンと「pattern」ボタンを押しながら「1~16」ボタンの中で移したい場所を押せば、同じパターンをそこにコピーする事ができます。そのパターンに少し変更を加えれば、元と似ているけど違うパターンを手早く作れます。

今選んでいるパターンを消したい場合は、「record」ボタンと「pattern」ボタンを一緒に押すと消去されます。

本製品は「1~16」ボタンに制作したパターンを続けて再生する事もできます。例えば8、8、8、8、1、2、1、2、という順番でパターンを連続して再生したい場合は、「pattern」ボタンを押しながら「1~16」ボタンを「8」、「8」、「8」、「8」、「1」、「2」、「1」、「2」と押せば、数珠繋ぎになったパターンが再生され、最後の「2」が再生された後、最初の「8」に戻りループされます。この機能は最大で128個までパターンを続けて再生できます。

豊富なエフェクトは、リアルタイムでパフォーマンスする事も、パターンに操作を記録する事も可能

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打ち込んだパターンを再生した状態で、「FX」ボタンを押しながら「1~16」ボタンを押すと、内蔵された豊富なエフェクトをかける事ができます。

どのようなエフェクトかと言うと、細かくループさせてドラムを連打させたり、オクターブ高くしたり、低くしたり、スタッター効果で音を断続的に途切れさせたり、スクラッチや逆回転などの効果もあって結構楽しめます。

ライブをする時に手動でエフェクトをかけてパフォーマンスする事もできますし、パターンそのものにエフェクトの操作を記録する事も可能です。
その方法は、おなじみの「write」ボタンと「play」ボタンを押し、録音再生モードにして「FX」ボタンを押しながら「1~15」ボタンを押せば、その効果をパターンに保存する事ができます。

記録したエフェクトを消したい時も簡単です。録音再生モードで「FX」ボタンを押しながら「16」ボタンを押してワンループ上書きしてやれば消去できます。

内蔵マイクから気軽にサンプリングして、すぐに曲が作れるところが魅力

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『PO-33 K.O!』の使用レポート、いかがでしたでしょうか。

ざっくりと使い方をご説明してきましたが、本製品の面白さは何と言っても、内蔵のマイクから気軽にサンプリングして、すぐに曲が作れてしまうところにあります。先にご紹介しました動画のように、ゴミ箱を叩いたり、小石を転がす音を取り込むと、結構面白いリズムが作れるのでおすすめです。

筆者はICレコーダーに金属音を録音し、そのオーディオ・ファイルをDAW上で編集して曲を作る事もあるのですが、『PO-33 K.O!』は内蔵マイクからサンプリングした後、すぐに波形をスライスしたり打ち込みもできるので、手軽さとスピーディーさが面白いと思いました。サンプリングできる秒数や、作れるパターンの数にはもちろん制限がありますが、ポケットサイズでありながら、サンプリング、スライス、打ち込みが、これ一台で大まかに完結できるという所に魅力を感じます。

基盤がむき出しのルックスはなんとも存在感があり、そのまま使用してもカッコいいですが、シリコンで作られた別売りの専用ケース「pro-case」を装着すれば、ボタン類が保護され電卓のようなルックスになり、さらに愛着が持てるでしょう。他のPOシリーズとケーブルで接続すれば、同期させて一緒に演奏する事もできるので、いくつか組み合わせて音のバリエーションを増やしていくのも楽しそうです。

本製品は、限られたスペースに様々な機能が盛り込まれていて、いくつかのボタンを組み合わせて押す事で色々な操作ができます。全部の操作を覚えるのには少し時間がかかるかもしれませんが、サンプリングで曲を作ってみたい初心者の方でも楽しめると思います。内蔵されているエフェクトも派手なサウンドが多く、ライブ・パフォーマンスで使う場合にも威力を発揮するでしょう。

本製品をポケットに入れ、街に出かけて、色々な音をサンプリングして曲を作るのも面白いかもしれませんね。興味のある方は、ぜひ『PO-33 K.O!』を試してみてください!

詳しくはコチラ