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メンバー全員、フルタイムの仕事を持つ「週末バンド」、toconoma(トコノマ)。2008年の結成から、10年を経て3枚のフル・アルバムなどをリリース、今夏、ついに<FUJI ROCK FESTIVAL>(以下、フジロック)のフィールド・オヴ・ヘブンにも出演を果たし、働く同世代には仲間を祝うような気分も大いにあったはず。インストバンドという、言葉や国境の壁を越える表現で、その場にいるオーディエンスを巻き込みパワーも実証してくれた。

インタビュー前編では結成10周年を機に、バンドの10年間の音楽性についてや活動を続ける中での転機を聞いたが、音楽性のトーンはインストバンドでありつつ、主旋律を口ずさめるキャッチーさ、自然と記憶に残る音楽であることは結成当初から普遍的に備わっていることが理解できた。

今回の後編では、「週末バンド」であるが故の仕事とバンドの関係性や、toconomaのライフスタイルが見えてくるインタビューをお届けしよう。

前編はこちら

Interview:toconoma

週末バンド、toconomaが歩んだ10年間。会社とバンドを両立してきた理由|後編 music180901-toconoma_02-1200x800

——社会人バンドって自然消滅することも多いじゃないですか。

西川隆太郎(以下、西川) ああ、まぁそうですね。周りに結構多いかもしれないです。

——続けていきたいなってなったタイミングはあったんですか?

石橋光太郎(以下、石橋) なんだろうね? 逆にいうとあんまり辞める理由がなかったんですね。

西川 そうですね。なんかもう土日のどっちかでリハ入るのが習慣化してて。楽しいなぁと思ってて、それがずっと続いてるみたいな。それが楽しいから色々調整して維持していこうとしてるだけで。何がどう変わったというわけでもないような気もしますね。

——そんなに肩に力が入ってるわけでもないけど、普段の皆さんは社会人としてさすがにのんびりはしてないんだろうなって。

石橋 社会人やってる時はめちゃめちゃ厳しいっす(笑)。

西川 めっちゃ厳しいっす。

石橋 後輩が「石橋さんに怒られすぎて、夢に出て来た」って。

西川 パワハラじゃないよね(笑)?

石橋 コンプライアンスは遵守しております!怒鳴ったりはしないけど、自分も厳しく育てられたからある程度はね…。

——(笑)。でも今のこのイラストの感じはバンドのムードを表してる?

西川 なんかちょっと余暇感というか(笑)。

石橋・清水・矢向 ははは!

西川 こういうと大変微妙なラインなんですけど(笑)。どっかで僕らが楽しんでないとダメなんじゃないかな? っていうのがあるんで。<フジロック>の時もいろんなライブ見ててもそうですけど、「やってて楽しそうですよね」ってお客さんからよく言われる。事実やってる時は楽しいし。そういう状況は僕らとしても楽しいんで、それをずっと続けていきたい。

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——社会人とバンドマンで自分のモード的なものは意図して切り替えてらっしゃらないのかな? と。どうですか?

矢向 ああ、あまりないと思います。みんな共通して言えるのは根が真面目なので、どっちに対しても真剣に取り組んでると思います。その中で、1週間の限られた時間の中で自分の体力と相談して(笑)。歳を追うごとにそうなってくるのかなと思いますけど。

西川 でも基本的な姿勢は、バンドをやってる時は楽しく過ごすために何が必要なのか? 考えながらやってると思うのでそれは仕事に対しても同じスタンスなんじゃないかなと思います。

——生活者である個人として、大切なことが満たされてるからバンドも楽しいんですかね?

西川 どうなんですかね? バンドがあるから、なんか普段も楽しいみたいなところはあるかもしれないですね。やりたいことやって。まあ、仕事もやりたいことなんですけど、状況によってはシビアな場面もあるので、そういう時にもちゃんと自分たちのブレイクタイムみたいのがあって、僕らはたまたまバンドなんだけど、人によっては買い物行くとか、キャンプするとか色々あると思うんですけど、僕らは単純にそれがバンドで。やっぱそれを守るというか、それをやりたい、お客さんと。

——練習の合間の話題は最近どういうものが多いですか?

石橋 恋バナ。

西川・清水・矢向 ははは!

石橋 っていうのは一切なくて、「最近何聴いてる?」って音楽の話が多いかね。

西川 たしかに音楽の話がメインかな。

石橋 最近は、<フジロック>とか一緒に体験してるから、「あれすごかったねぇ」みたいな話にはなります。

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——それ以外はどうなんですか。

石橋 ほんとに高校生の男子が放課後に集まってだべってるのと変わりなく。ほぼAVの話(笑)。

西川 ということはなく…。

——西川さんと石橋さんのコンビ感がすごい可笑しい(笑)。

石橋 多分、仲は良い方だと思います(笑)。

——何かを我慢して音楽で発散してるんじゃなくて、仕事は仕事で意義があって、音楽は楽しみとして存在してるのかなぁと。

西川 まさにそうですね。

石橋 少なからず音楽で発散してるところはあるかもしれない。

西川 まあ、時代が変わったからなのかもしれないですけど、例えば昔だったら音楽よりも仕事を優先するのは当たり前だろとか、そういう感じだったと思うんですけど、僕らは仕事をしてる時に「音楽やってるんです」って言っても、あんまりネガティブな意見がなくて「すごいいいよね」と。音楽やってるフィールドでは仕事もやってるのがいいよねみたいな感じで、相乗効果というか、どっちもいいよねみたいに言える環境になったのかもしれないですね、時代というか。

——確かに仕事とバンドを両立というより並行している人は増えましたよね。

西川 バンドやってても、「俺たちは一握りになるために死に物狂いでやんなきゃいけないんだ!」みたいなことでもないし。音楽もやって仕事もやって、それが自分たちのスタイル、みたいな。そんな雰囲気で気軽にやれるといいのかなと。

——細かいことでいうと仕事の時と週末でファッションが違う人とかじゃない感じがするし。

石橋 そうですね(笑)。

西川 これで会社行ってますから(笑)。

石橋 ステージに上る衣装と平日の服、全く一緒ですから(笑)。

西川 それもどうなんだ? っていう、話もちょっとあるんですけど(笑)。

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——そういうことも象徴的なのかなと思うんです。

西川 いいかなと思ってます、そういうシームレスな感じは。

——だって同じ人が提案したりするわけですもんね。

石橋 うん。音楽ってどう楽しく生きるかの手段の一つだと思ってるんで。もちろん生きてく以上は住宅ローン返したりとか、働かなきゃいけないんですけど(笑)。

——でもそれも自分が好きなスペースが欲しいからだと思いますし。これってタラレバでしかないんですが、バンドやってなかったらどんなストレスが溜まってたんでしょうね?

西川 違うことを見つけてそうな気もしますけど。

——どっちにしても別に二つのことが同じ熱量でできるのは不思議なことじゃないですね。

西川 あんまりそもそも違うことを二つやってるって感覚でもないというか。なんかこう、24時間365日の中の、仕事の時間があって、家で過ごす時間があって、その中に音楽も入ってて、それでワンパケ! みたいな感じでみんな思ってるんじゃないか?

石橋・清水・矢向 ははは。

——リズム隊のお二人は一瞬「そう?」って顔をされましたけど、違うんですか?

矢向怜(以下、矢向) いや、全然(笑)。

——24時間365日を自分でコントロールして生きていける時代というか。

石橋 多分、僕が思春期の頃はバンドと仕事を両方やる、みたいな感じの人はあんまりいなかったと思うし、やっぱりバンドを組む人は全てを捨てて、バンドに打ち込むというのが美しいとされてた気がします。今でもそれは美しいと思うんですけど、うちらみたいなやり方もありだよね、そういうのが許される時代になってきてるなぁとは思います。優しい時代。

——人が主役というか、この人がやってるから面白いというか。

西川 うん、そうですね。

——これをやってるからすごいというより、この人の音楽が面白いとか、その人が作るから、その料理食べてみたいとか。

石橋 そうですね。属人的かもしれませんね、いろんな価値が。

——そして現在も新しい作品は絶賛制作中であると?

西川 そうです。今日から(笑)。

——じゃあ当面の予定はツアーですかね。

石橋 そうですね。まぁそこに曲が間に合ったら嬉しいし、間に合わなかったらごめんなさいと。

——10年間で人としての成長とか、バンドマンとしての成長を感じることはありますか?

矢向 (石橋の)MCが上手くなった。

石橋 ははは。

西川 上手!

石橋 おい(笑)! 昔、ベースのところにMCマイク置いたらいつのまにか自分で片付けてて(笑)。あれ結構びっくりしたわ。

矢向 ははは。

石橋 10年経って……初めて会ったのが23〜25歳の頃か。みんな大人になってきてるなと思いますね。恥ずかしいですけど、ちゃんと「ありがとう」って言えるとか。メンバーといえども気を使うとこは気を使うとか、そういうとこは、顔のシワとともに増えてきた。あとはやっぱり、楽器の演奏っていうのはずっと側で見てるんで、みんなまだまだなんですけど、ほんとに演奏うまくなったなと思います。当たり前ですけど、練習しないとうまくなんないんで。会ってない時間にこの人がどれだけ練習したのか? がわかるというか。そういう意味では皆様を尊敬して。

西川 いいわぁ。しみる。(笑)

石橋 うふふ。

矢向 それは多分一緒に培ってきたんじゃないかと思います。

石橋 よくも悪くもみんなおんなじぐらいの演奏レベルって言ったらあれかな?

西川 もちろんパートに対する比重はあるけど、どうなんだろうね? バンドとしては同じぐらいだと思います。

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——30代からの10年って面白くなるでしょうね。これからもバンドメンバーであり友達、ですか?

石橋 そうでしょうね(笑)。

西川 何ていうんですかね、フェスに行く道すがらとかも、旅行なんですよ。行きはB’zで帰りはサザン(サザンオールスターズ)聴いて帰ろうみたいな。

——最高ですね。

西川 そういう感じですね(笑)。

石橋 今日も「曲作んなきゃいけない」ってスタジオ取って、最初の1時間は喋って終わるみたいな(笑)。

西川 だいたい近況報告からフワッと入るっていう。

——またここからの10年、変わっていくんでしょうか。

西川 10年って、体感的にはあっという間なんですけど。やっぱり色々あったんだなっていうのはありますよね。もちろん、音楽的にどうこうっていうのもありつつ。全部覚えてないけど、それぞれ紐解くと結構思い出深いし。その思い出が楽しかったから、これはやっぱり続けて行きたいよねって思いはより強くあって。だからこそ今後10年どうするかっていうのは常に考えてバンド運営をしていきたいというか。よくレーベルの人とも話すんですけど、変な話、事業計画というか、僕らがtoconomaというある種の事業を運営して行く上で、何が必要で、何が足りなくてとか、そういうのをおぼろげながらに考えてたから、楽しく過ごせた10年なのかなと思います。だからこそ、今後も僕ら4人がどうなりたいか、事業計画を10年20年先まで考えることが大事なのかなと。

石橋 多分そのKPIもお金ではなくて。「良く生きる」という感じだと思います。

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——これからの10年、toconomaのブランディングとしては何が大事になってきそうですか?

矢向 健康(笑)。

石橋 間違いない。

西川 ほうれい線の揉みこみとか。

石橋 首のたるみとか。

西川 白髪を染めて行く、体を絞って行く。

——エイジングは自然に任せるんじゃなくて?

西川 アンチ・エイジングはしっかりやりたいです。

石橋・清水・矢向 ははは!

西川 ケア商品には各自どんどん投資していただいて。

石橋 すごいな。これ他のバンドが読んだら怒るんじゃないかな……。なんかすいません…。

——(笑)。いや、画期的じゃないでしょうか。アンチ・エイジング面でも先頭を走るバンドとして頑張っていただいて。今日はありがとうございました。

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EVENT INFORMATION

Tour TOCOJAWS 2018 -toconoma 10th anniversary-

Tour TOCOJAWS 2018/Hong Kong

2018.09.22(土)
TTN This Town Needs

Tour TOCOJAWS 2018/名古屋

2018.10.14(日)
名古屋CLUB QUATTRO
OPEN/16:00 START/17:00
¥3,800+1D(18歳以下入場無料/受付にて身分証明証をご提示ください/チケット購入者の後の入場になります)

Tour TOCOJAWS 2018/大阪

2018.10.27(土)
Umeda TRRAD
OPEN/18:00 START/19:00
¥3,800+1D(18歳以下入場無料/受付にて身分証明証をご提示ください/チケット購入者の後の入場になります)

Tour TOCOJAWS 2018/東京

2018.11.18(日)
TSUTAYA O-EAST
OPEN/16:00 START/17:00
¥3,800+1D(18歳以下入場無料/受付にて身分証明証をご提示ください/チケット購入者の後の入場になります)

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photo by Kohichi Ogasahara

石角友香

石角友香

ライター

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