2011年5月にリリースされたアルバム『CALLING』以降、ダブを軸に置いた楽曲の優れたクオリティは然ることながら、コンスタントな野外フェスへの出演と相まって、あらかじめ決められた恋人たち(以下、あら恋)は持ち前のシネマティックな音像で、数多のオーディエンスを踊らせ続けてきた。轟音なのに耳馴染みがよく、自然と身体が反応してしまう生音と打ち込みによる電子音の洪水をいつまでも浴びていたい。野外フェス特有の開放感との相性の良さを打ち出し、あら恋の名前は音楽ファンの間に広く認知されていった。

【インタビュー】あらかじめ決められた恋人たちへが記録する「旅立ち」のドキュメンタリーフィルム。池永正二が語る最新作『DOCUMENT』について。 feature130909_arakoi_jk

アルバムとしては実に2年4ヶ月ぶり、待望の新譜『DOCUMENT』が9月11日(水)にリリースされることになった。いわゆるドキュメンタリーを連想させる『DOCUMENT』というタイトルは、あら恋の風景描写に富んだサウンドスケープとリーダーの池永正二が芸大の映像学科出身であるという背景を踏まえると、実に彼ららしいネーミングだと思う。またドキュメンタリーの、誰かの人生や生活に密着し、それを映像として記録するというアプローチとサウンド面の関係を考えると、今作に漂っている優しくて丸みのある柔らかな質感は、どこか僕らの生活に寄り添うサウンドトラックのような響きを持っている。その意味で『DOCUMENT』という作品は、あら恋がバンドとして表現したいことが刻まれたドキュメンタリーフィルムなのかもしれない。

彼らは自身の代名詞となり得る作品をどのように捉えているのか。その心境を池永正二に語ってもらった。

★インタビューは次ページから