’14年にジム・アビスを迎えて制作したデビュー作『ザ・バルコニー』を全英10位に送り込んだUKロック・シーン期待の新星、キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン。彼らが1月に行なった代官山UNITでの初来日公演は、バー・スペースまで観客でぎっしり。“Rango”からスタートすると、熱量全開の演奏にいきなりフロアから歓声が巻き起こり、その様子を見たヴァン・マッキャン(Vo,G)は満足そうに頷いて会場を煽る。というのも、『ザ・バルコニー』の楽曲はすべて、ライヴを想定して書かれたもの。この日も“Kathleen”や“Fallout”、“Pacifier”を筆頭に一度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディとエネルギッシュなプレイで、終始観客を魅了していった。夏には早くも<フジロック>での再来日が決定。4月にはロンドンのシェパーズ・ブッシュ・エンパイアでのライヴもこなすだけに、ここでは一段と逞しくなった姿が見られそう!
Catfish and the Bottlemen – “Kathleen”
一方Qetic読者にもお馴染み、北海道の3人組Galileo Galileiは、いまだ平均年齢22歳ながらUSインディを筆頭にした海外シーンとも共振しつつ、作品ごとに日本独自の音楽性を追究。メジャー2作目の『PORTAL』ではエレクトロ・ポップ的な要素にもアプローチ、続く3作目『ALARMS』ではポップ・エトセトラのクリス・チューをプロデューサーに迎えるなど、日本の洋楽インディ・リスナーの間でもファンの多いバンドのひとつだ。彼らはいよいよ3月11日(水)に、“サークルゲーム”以来約1年半ぶりとなる、最新シングル“恋の寿命”をリリースする(『名探偵コナン』の青山剛昌が原作のTVアニメ『まじっく快斗1412』のEDテーマ)。「“ずっと温めていた”恋のうた」だというこの曲は、どこかクラシックなGalileo Galileiを思わせつつも、同時に様々な経験を積んだ今ならではの、心の奥をぐっと掴むような雰囲気が印象的なものに。それぞれベクトルは違うものの、一聴して心に残る抜群のメロディー・ラインは、キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンの魅力とも共通するものと言えるんじゃないだろうか。
Galileo Galilei – “恋の寿命”
そこで今回は、1月の来日時に実現した、尾崎雄貴(Vo,G,Key,Programming)によるヴァンへのスペシャル・インタビューをお届け。日英の若手人気バンドのフロントマンが顔を合わせたこの企画。質問自体も尾崎雄貴自身が考えてくれたもので、もともとキャットフィッシュ~の音楽が好きな彼だからこそ気付くヴァンのテクニックについて、日英のプロデューサーの違いについて、バンドマン同士ならではの視点で訊いてもらった。そうして意気投合した2人。終盤かなり面白い展開になるので、その辺りもお楽しみに!
Interview:Catfish and the Bottlemen(Van McCann)×Galileo Galilei(尾崎雄貴)
ヴァン・マッキャン(以下、ヴァン) 今日はわざわざ来てくれてどうもありがとう!
尾崎雄貴(以下、雄貴) こちらこそ。僕は普段日本でバンドのヴォーカルをやっているんだけど、今日はそれよりもまず、いちファンとして質問をさせてもらいたくて。
ヴァン わぁ、嬉しいな。君たちのCDももらいたいんだけど、いい?
雄貴 もちろん。(同席していた弟・尾崎和樹を紹介して)ちなみに、彼がドラマーだよ。
ヴァン ハイ、初めまして。よく喧嘩する(笑)?
和樹 うーん、時々(笑)。
雄貴 (笑)。じゃあ、早速色々と質問をさせてください。まず、ライヴで“Homesick”のヴァースを歌う時に、マイクと口の間に指で輪を作って声をひずませているのが印象的なんだけど、あれはどうやって見つけたアイディアだったの?
Catfish and the Bottlemen – Homesick
ヴァン ああ、あれはね、アルバムの音源ではディストーションを使っているんだけど、ツアーに出る時、僕らはそういうマイクを持っていなかったんだ。それである時、この方法で試しにやってみたら、エフェクターを使わなくてもひずむような音が出てさ。だからそれ以来ずっとやってる。でも今まで、誰ひとりとしてそれに気づいてくれなかったんだよ!