“TIME”(Starring:NADIA ESPERANZA, TAKA)

大沢伸一にとって盟友であるbirdがボーカルと作詞を担当したこの楽曲。歌詞の一部からアルバムタイトル『何度でも新しく生まれる』が決定したこともファンにはおなじみのはず。久々のタッグを再会した男女になぞらえたと思しきこのMVは、同じ夕景でも二人の距離感が違っていたり、同じ二人でありつつ、解放的な空間と都市空間を行き来したりと、時間=TIMEを象徴するシチュエーションが交錯するのが見所だ。その上で、しなやかなダンスと演技の境目を感じさせることのない出演者のNADIA ESPERANZAとTAKAの身体表現が美しく、それは離れてはまた近づく二人の心情やすれ違い、最後にはお互いを受け入れあうシーンまで、目が離せない。単に振り付けというにはストーリー性を体現した素晴らしいダンスだ。その緩急は、もちろん楽曲が持つリズム・チェンジの面白さや、「ワン、ツー」というカウントが持つフックともシンクロしており、時折、NADIAが歌を口ずさむシーンと歌詞の内容もこのニュージックビデオにフックを与えている。bird本人は登場していないものの、彼女の声のキャラクターがMONDO GROSSOの過去から現在の楽曲において、ある種、シグネーチャー的なものであることも再認識できる。

MONDO GROSSO / TIME

振付は、主演ダンサー NADIA ESPERANZAとTAKA 自身が担当。
NADIAはフラメンコ、クラシックバレエ、モダンバレエ、コンテンポラリーなど、TAKAはHIP HOPなどをルーツに持つ人気ダンサー。

“TURN IT UP”(Starring:山本勇)

『何度でも新しく生まれる』のボーナストラックとしてAWAで限定配信されていた同曲。新作『Attune / Detune』にはCD初収録された。大沢伸一と大橋トリオのセンスが融合することにより、ベースラインが印象的なアーチー・ベル&ザ・ドレルズ(Archie Bell & the Drells)の名曲“Tighten up”とニューオーダー(New Order)の“Crystal”のギター・リフが交互に行き交うようなユニークな楽曲だ。それは二人のルーツでもあるかもしれない。大人になっても心の奥にある少年の尽きることのない自由。それをそのまま身体表現に昇華したようなMVと言えるのではないだろうか。踊るようにあらゆるテクニックを駆使するのは、2017年5月にカナダで行われたスケートボード・フリースタイル世界大会で日本人初、かつ最年少の14歳で優勝したう山本勇が出演。真夜中のトンネルという幻想的なシチュエーションからスタート、上空のドローンが相棒に見えるのは、ティーンエイジャーである山本勇の世代感からだろうか。トンネルを抜け、公園や夜明けの空を背景にしたスケーティングも、どこか憧憬すら抱いてしまうほど自由に満ち溢れている。ダンサブルなビートで歌う、平熱感溢れる大橋トリオのボーカルも瑞々しく、少年の日の思い出、実際の少年に向けられた暖かい眼差し、そしてあらゆる人の胸に灯るであろうポジティブな思い。それらを見事に表現したMVだ。

MONDO GROSSO / TURN IT UP [Vocal:大橋トリオ]

“春はトワに目覚める (Ver.2)”(Starring:菅原小春)

森の中で野生的な生き物の目覚めを感じさせるような、菅原小春にしかできないダンスと身体表現が神秘的なMV。なんと撮影当日にコンテンポラリーダンサーの辻本知彦と作り上げたパフォーマンスであり、菅原小春自身、子供の頃から踊るということをしてきた中で、初めて「生きてるんだ」という瞬間に出会えたとコメントするほど、彼女にとっても新しい扉が開いた表現だったようだ。UAの万物の目覚めを思わせるボーカル、『何度でも新しく生まれる』の中でも最もダンサブルなビートを持つこの曲のイメージを、まさに体験するあらゆるものに対して「目覚める」ような菅原のパフォーマンスがビビッドにその印象を拡張し、衣装や編集も相まって人間に止まらない生命の躍動を後押ししている印象がある。大沢伸一自身も、MONDO GROSSOの新曲群が、表現者の挑戦の舞台になっていることを嬉しく思うとコメントしているが、確かにこのMVは世界的なダンサーである菅原小春のキレッキレのダンスというイメージを超えたものであり、MONDO GROSSOのMVを手段としてクリエーターたちがこれまでにない映像世界に切り込んでいることは間違いない。そして、今まさに春を迎える季節、何もかもが新たに胎動する感覚とシンクロするこのMVの普遍性も見事だ。

MONDO GROSSO / 春はトワに目覚める (Ver.1) (Short Edit)

Blu-rayには6分半のフルバージョンが収録。
YouTubeとはまた違った解釈での構成で見応えあり。
CLIP集のラストにふさわしい壮大なMV。

“春はトワに目覚める”のMVに大沢伸一が寄せたコメント通り、MONDO GROSSOの楽曲世界を通じて、パフォーマー自身が新たな表現にチャレンジしていることがよくわかるMV7本。何度も見返した人も多いだろうが、今回のBlu-rayは高画質であるだけでなく、KISSonixサウンドを採用し、左右2つのスピーカーだけで、立体音空間(3Dサウンド)の体感が得られるプロダクトになっており、可能な限り大きく高精細なモニターと音量で見てこそ価値を感じられるはず。シーンに投げかけた新しくて新鮮なMONDO GROSSOの音楽は、映像の世界にも新しい風を送り込んだことが理解できるだろう。

RELEASE INFORMATION

Attune / Detune

2018.03.21(水)
MONDO GROSSO

[CD]
¥2,000(+tax)
CTCR-14939

[CD+Blu-ray]
¥3,300(+tax)
CTCR-14938/B

<収録内容>
-CD-
01.One Temperature[Vocal:Big-O]
02.TURN IT UP[Vocal:大橋トリオ]
03.偽りのシンパシー(Album Mix)[Vocal:アイナ・ジ・エンド(BiSH)]
04.KEMURI[Vocal:ACO]
05. ̶ Attune / Detune ̶
06.KEMURI (Retune)[Vocal:RHYME]
07.ERASER (FRF 2017 Rearrangement)[Vocal:二神アンヌ]
08.ラビリンス (Thousand Tears Orchestra Instrumental)
09.惑星タントラ / やくしまるえつこ

-Blu-ray-
・偽りのシンパシー
・ラビリンス
・惑星タントラ
・SEE YOU AGAIN
・TIME
・TURN IT UP
・春はトワに目覚める

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