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父であるサイモン・ジェフス率いるペンギン・カフェ・オーケストラ(Penguin Cafe Orchestra)最後のスタジオ・アルバム『Union Cafe』が没後20年を記念して〈Erased Tapes〉より再発。息子であるアーサー・ジェフス(Arthur Jeffes)にメール・インタビューを行い初LP化を含む再発プロジェクトが実現した経緯や、父親として/音楽家としてのサイモン・ジェフスについて、そして『Union Cafe』の魅力について語ってもらった。

ゴリラズやスウェード、トロージャンズなどのメンバーを含む腕利きのミュージシャンたちの集合体であり、17年の『The Imperfect Sea』以降はニルス・フラームやオーラヴル・アルナルズ、ピーター・ブロデリックらの作品でポスト・クラシカルの重要拠点として知られる英〈Erased Tapesに所属するプロジェクト、ペンギン・カフェ(Penguin Cafe)

その中心人物アーサー・ジェフス(Arthur Jeffes)の父、サイモン氏が率いた前身グループ、ペンギン・カフェ・オーケストラ(Penguin Cafe Orchestra)の93年作『Union Cafe』が、彼の没後20年を記念して〈Erased Tapes〉より再発された。

この作品は、アンビエント/ミニマルが流行した80年代に「巨大なペンギンがオーナーを務めるカフェで鳴らされる音楽」をテーマに人気を博したペンギン・カフェ・オーケストラにとっての最後のスタジオ・アルバムであり、その魅力を未来へと語り継ぐために始動した現在のペンギン・カフェに繋がる、いわば最後期の重要なピースのひとつ。

全編にはアンビエント/ミニマルだけにとどまらない、チャーミングで遊び心溢れる不思議なサウンドが広がっている。

そこで今回は、現在の中心人物、アーサー・ジェフスにメール・インタビューを敢行。初LP化を含む再発プロジェクトが実現した経緯や、父親として/音楽家としてのサイモン・ジェフスについて、そして『Union Cafe』の魅力について語ってもらった。

Interview:アーサー・ジェフス(

【インタビュー】息子アーサー・ジェフスが語る!父サイモンとペンギン・カフェ・オーケストラ最後の作品『Union Cafe』 interview_arthurjeffes_1-700x467

——2017年はあなたのお父さん、サイモン・ジェフスの没後20年でした。その年にペンギン・カフェ・オーケストラの『Union Cafe』が再発されることになったいきさつはどんなものだったのですか? 今回はヴァイナルでのリリースも実現していますね。

まったく予想していなかった素晴らしい状況が噛み合わさったんだ。幸運だったよ。2016年の夏にニルス・フラームから、彼がロンドンのバービカンで主催する<Possibly Colliding>というフェスに出演しないかと誘われた。

それで〈Erased Tapes〉のレーベルオーナー、ロバート・ラスも含むニルスのチームに会ったら、彼のレーベルとそこで働いているスタッフみんなを好きになった。それで彼らとチームを組んで『Impact Sea』を2017年の5月に〈Erased Tapes〉からリリースした。

今回の再発に関しては、2017年の12月が僕の父が亡くなって20年になるから、特別なことをやりたかったんだ。ロバートにそのことを話したら、彼は父の最後のアルバム『Union Cafe』を知らなかった。というのも、ロバートはヴァイナル愛好家だけど、この作品は唯一ヴァイナルではリリースされていなかったからね。

だから、僕達はこれが父が亡くなってから20年を記念する完璧な方法だと感じた。この最後のアルバムをヴァイナルで出して、楽曲すべてのお祝いをしようと思ったんだ。90年代初めには、おそらくヴァイナルでのリリースがそれほど高く評価されていなかったけど、今は再び人気になっている。だからこのタイミングで、隠された宝石を世界に提示したんだよ。

——『Union Cafe』がリリースされた93年当時、あなたは15歳ぐらいだったと思いますが、その頃のサイモンさんやこの作品について覚えていることがあれば教えてください。

父が“Nothing Really Blue”を作曲していた時のことを覚えているよ。僕がピアノでベースラインを演奏しようとしたんだけど(16分音符のなかにオクターブCだけでとても簡単なんだ)、この曲の美しさは一度に可能な限り最小数の音符数を変更するという原則の転調から生まれている。曲が形になっていく様を見るのはとても楽しかったね。

——全編にはイギリスのポーロック、イタリアのボローニャなど楽曲ごとに世界各地の様々な場所が登場する他、アメリカを舞台にした“Discover America”にはジョニー&ザ・ハリケーンズの“Red river rock”(1959年)のメロディも登場します。

ポーロックが出てくる“Another One From Porlock”はサミュエル・テイラー・コールリッジ(イギリスの詩人/哲学者)の詩で、イングランド南西部のサマセットにあるポーロックから来た男に家のドアをノックされて夢から覚めた話についての曲。彼の夢は、有名な詩『所処はザナドゥ、クビラ・カーンは命ず』から始まる。

これはイングランドでは有名な話で、ドアをノックして夢を遮断する”ポーロックから来た男”は残りの夢を奪いに来ていると言われているんだ。

一方、“Silver Star Of Bologna”は父がイタリアのボローニャで行なわれたフェスティバルを手伝っているときに作曲したもので、最後に市から(曲名同様の)“Silver Star Of Bologna”という名前のメダルを贈呈されたんだ。“Discover America”は、正確に言うと“Red River Rock”、“Home on the Range”(“峠の我が家”:アメリカ民謡)、そして“When the Saints Go Marching In”(“聖者の行進”:黒人霊歌)の3つの曲が組み合わされている。父は同時にすべての曲を演奏することでどんな効果があるか試すのが好きな人で、これにはコープランド風の韻律を感じると思うよ。

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杉山仁

杉山仁

ライター

乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、Hard To Explain~CROSSBEAT編集部を経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』をはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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