――他の歌詞で言うと、“唯我独尊 ONLY ONE”では○さんが『ストリート・ファイター』のサンプルで遊んでいたところから、歌詞が生まれていったそうですね。

CTS – 唯我独尊ONLY ONE

Agsai (打ち合わせ中に)「ファイッ!」というサンプル音が鳴っていて(笑)。

――そもそも、「打ち合わせ中にそういう状態にある」というのが面白いと思います(笑)。

 (笑)やっぱり、「遊びの中で楽しんで作る」ということなんですよ。

Agsai 真面目に遊んでいる感じですね(笑)。“唯我独尊 ONLY ONE”は、その辺のユーモアが一番入っている曲かもしれないです。制作中、四文字熟語が自分の中で流行っていたんですよ。それで「縦横無尽」とか、「唯我独尊」とかが入っていて。でも、下手したら、唯我独尊とONLY ONE”って、同じ意味なんじゃないかという(笑)。

――ははははは。

 チゲ鍋、みたいなね(「チゲ」は韓国語で「鍋」のこと)。あれ、つまり「鍋鍋」ですから(笑)。

Agsai J-POPとして振り切ったのが“全世界 NEVER GAME OVER”だとしたら、この曲は「楽しむ」ということに振り切った曲だと思います。

――この曲は、プロジェクトチームのひとり、宮下さんのアイディアも歌詞に反映されているそうですね。

 “ONLY ONE”をつけたのは彼なんですよ(笑)。“唯我独尊”だって言っているのに。

――じゃあ、最初のタイトルはシンプルに“唯我独尊”だった?

Agsai そうなんです(笑)。サビで「唯我独尊 ONLY ONE」とは言っていたんですけど、タイトルは“唯我独尊”で。そこに、後から“ONLY ONE”が加わったんです。

 宮下先生は、タイトルにちょい足ししてくれるんですよね。

――まるでグルメのように(笑)。

 オシャレにちょい足ししてくれる感じで(笑)。“全世界”に“NEVER GAME OVER”を足したのも彼なんです。パッと聞いた感じ、なんのこっちゃですよね(笑)。

Agsai でも、宮下さんは、「こういうことが言いたいんですよね?」ということをまとめるのがすごく上手いんですよ。「つまり、“全世界 NEVER GAME OVER”ってことですよね?」と言われると、「ああ、そうだ」と思ってしまう。

 “全世界 NEVER GAME OVER”はもともとミニアルバムのタイトル曲としてリリースしたものですけど、そのカップリング曲も“宝箱 NEVER ENDING SUMMER”なんですよ。

――(笑)。

 セットなんですよね。「何この『NEVER~』シリーズ?」という(笑)。CTS版『菊次郎の夏』みたいな感じですね。

Agsai ちなみに、それも最初は“宝箱”までがタイトルだったんです(笑)。

――南波志帆さんが参加した映画『HK/変態仮面 アブノーマルクライシス』の主題歌“WAVINESS”は、女性のヴォーカルも入るという意味でも歌詞を考えるのが難しかったんじゃないですか?

5/14公開『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』主題歌 CTS「WAVINESS feat. 南波志帆」

Agsai 南波さんは印象的な声をされているので、「この素敵な声にこんなことを言わせたい」ということを考えていきましたね(笑)。

 性癖みたいなものが入っているんですね? それは知らなかった。

Agsai そう受け取ってもらっても構わないです(笑)。映画『HK/変態仮面 アブノーマルクライシス』とのタイアップだったので、ある程度は変態感を出しても怒られないかな、という。南波さんを『聖闘士星矢』に出てくる女神の(アテナ:城戸)沙織さんのような立ち位置にしたかったんです。どこか達観したような感じや、神秘的なことを言ってもらいたいと思って、抽象的な言葉をたくさん使っていますね。

――南波さんが歌うパートについても、みなさんで作りながら振り分けていったわけですか?

 最初に考えていたものから、結構変わっていきましたね。最初は○さんを中心に(○さんのヴォーカルとの)歌い分けを考えてもらったんですけど。

 (無言で頷く)

 最終的にはオーケストレーションや生のピアノを加えていくことになったんで、それで大きく変わりましたし、最初の案はなかったんじゃないかというぐらい変わりました。結果、一番いい状態になったと思うんですよ。半年とか、10ヵ月とか、それぐらいのレベルで作っていました。南波さんにも何回もレコーディングをしてもらって。

――その際にもみなさんで『変態仮面』の原作本を何度も読み返したりしたわけですよね。

 まぁ、このままでも存在自体が十分『変態仮面』ですけどね(笑)。

【インタビュー】謎のLED覆面ユニット・CTS。彼らが紡ぎ出す“3つの独特の歌詞世界”に迫る music160627_cts_3

――(笑)。一方初音ミクをフィーチャーした“千本桜”は、逆に「既に歌詞があるものをCTS流にしていく」という作業だったと思います。

 そうですね。オリジナルなものにしようという方向性があったんで。

 “千本桜”の魅力って、やっぱり「和」の要素があるところだと思うんですね。だから、それを未来人である僕らが表現するとどうなるか、ということで。

――未来人のみなさんが感じる「和」の要素とは?

 さっきから先生の話を聞いていても思いますけど、「謙遜」とか「謙虚」ということですよね(笑)。一言で言えば全然調子に乗らない、とか。そういうところに「和」を感じますね。

――なるほど。こうして色々と話を聞かせてもらっても、今回のアルバム『WAVINESS』では、音楽面でも歌詞の面でも、様々な挑戦があって、とても幅が広がった作品のように思えます。

 幅は広がりましたね。音楽的には海外の色んな面白い流れや動きにも影響を受けましたし、メンバーそれぞれが活動当初よりも色んな経験や、誰かのライブを観させていただいて感じたことで感性が磨かれて、それが出たのかなとも思いますし。別に強く意識していたわけではないですけど、それぞれの感性の幅が自然に広がったというか。今はこの現代で少しでも、僕たちのフィルターを通して音楽を楽しんでもらえれば、僕らの活動としてはオッケーでございます。

Agsai たとえば“Lady”辺りはトラックとしても新たな試みになっていると思うんですが、どれだけ新たなことをしても、それがCTSっぽくなると思うんですよね。どれだけ塩コショウしても、CTSという料理になるというか。最初は手探りだったものがひとつひとつ、お互いに分かりあえるようになってきた部分があると思うんです。

 まぁでも、変わったのはケータリングのクオリティぐらいですかね? 「あ、今日お弁当ワンランク上だ」とか、「今日シェフおるやん」とか(笑)。

――ははははは。

 もちろん、「CTSとしてこれは違う」ということを、以前よりみんなで言い合えるようになってきている部分はありますけどね。

――7月10日には代官山Sankeys TYOでワンマンライブ『THE LIVE OF WAVINESS』も行なわれますが、アルバムをリリースして以降は、他にどんな活動をしてみたいですか?

 僕らはまだ日本が好きなんで(CTSのメンバーが日本人かどうかは不明)、全都道府県をライブで巡ってみたいですね。それを成し遂げて、次は世界ですかね? □さん、どこに行きたいですか。ヨーロッパがいいですよね?

 そうですね。オランダがいい。

 オランダね。とにかく、ジャパン・オリジナルなもので勝負していきたいと思っています。たとえば、アニメって日本が世界に誇れる最大の、最強の文化じゃないですか。そういうものと絡めて、色々と出来たらいいなと思いますね。

【インタビュー】謎のLED覆面ユニット・CTS。彼らが紡ぎ出す“3つの独特の歌詞世界”に迫る interview160701_cts_10

EVENT INFORMATION

THE LIVE OF WAVINESS

2016.07.10(日)
代官山Sankeys TYO

詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

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