――今作の制作過程において、これまでと同じ部分と今回変わった部分をそれぞれ教えて下さい。

今回は曲を書き上げてから、完璧な状態にするまで練習して、スタジオに入るという形をとったんだ。だから、スタジオに入ってからは恐れずに曲に実験的な要素を足したりすることができたんだよね。そこが今までと大きくと違うところだよ。これまでは、事前に曲を書かずに即興でアイディアを出しながら曲を作っていたからね。

――期間はどれくらいかかりましたか?

3日、4日で2、3曲書き上げて、レコーディングしてって作業を繰り返していたから、そんなに時間はかからなかったよ。そのやり方のお陰で毎回が新鮮だったよ。

――そのやり方を振り返ってみていかがですか?

バンドとして初めて正しい決断をしたと思っているよ(笑)。いまさらって思うかもしれないけどね。すごくいいやり方だったと思っているんだ。次の作品を制作する際は、また同じやり方をとると思うよ。

――制作の中で音楽、映画、アート等、インスピレーションとなったものとは何ですか?

たぶん色々なものから影響を受けていて、特に会話からインスピレーションを得たことが多かったね。最初に何をテーマに曲を書こうかって話していた時に、出来る限りビックな、壮大なテーマを描きたいとなったんだ。人間のあり方や人の一生、宇宙・・・そんなものをね(笑)。その時、楽器などは特に持たないで、ペンだけ持って話あったんだ。時々アイディアが出すぎて、話が反れちゃったこともあったぐらい白熱したよ(笑)。例えば、70年代の映画の話で盛り上がった時があったんだ。あの時代の映画のワイフをスワッピングする感じとかセンセーショナルだよなって興奮して。それで、映画を観ている最中に色々なアイディアが沸いてきたもんだから、すぐに観るのを辞めてスタジオに入って完成したのが“Brief Encounters”なんだ。

――それらのアイディアを出す際に、メンバーそれぞれはどんな役割なのですか?

アレックスと僕はさっき話した“壮大なテーマ”のようなピュアなアイディアが沢山沸いてくるタイプで、アレックスとニックは曲を書くのに長けているんだ。ニックは音楽的に凄い発想を持っているし、アレックスとニックはお互いに音楽的な会話をたくさんしているよ。ポールは音楽の趣味というか感性がとても鋭くて、楽曲が独り歩きしすぎて離れて行ってしまっていると感じたら演奏しなかったりするんだ。だから4人それぞれの役割を担っているんだよね。