——00年代でもう一曲、“うたかたの恋”はいかがでしょうか?

これもすごく大好きな曲で、最近のライブの定番になっていますけど、今回さらにアレンジを変えました。ライブでずっとやってきている曲なので、「歌を歌うときの心持ちって変わってくるものなのだな」と改めて思いました。これが一番近年の曲で、オリジナルとあまり間が空いていないリアレンジですけれど、また新しいものになって。メンバーのみなさんとの時間の中で、曲が育ってきた足跡が一番分かるナンバーになっているかもしれませんね。

——この曲は原田さんが作詞を担当していますが、確か当時、直前にNHKのTVドラマ『紙の月』に出演されて……。

その撮影のすぐ後に作った曲だったので、まだ役の精神状態が少し残っている状態で書きました(笑)。そういう意味ですごく影響されていて、内容も繋がっているものになっていますね。

——作詞をされるときは、そういうことも多いんですか?

多いと思います。その前にやった役の気持ちや、その当時の気持ちが、題材として出てくることがあるんですよ。たとえば、『Blue Orange』(98年)を作ったときにも、その前に『落下する夕方』で酷い失恋をする役をやっていて、そういう歌詞が多くなりました。演じることって「誰かの人生を一瞬生きるような経験」なので、抜けていくまでに少し余韻があるんですよ。

——そもそも、原田さんが作詞をする上で大切にしているのはどんなことなのでしょう?

今お話ししたような出来事が題材になることもありますし、あとは、単純に曲からアイディアをもらうこともありますね。そこからパズルのように言葉合わせをしていくような感覚です。「この5文字が出てこない……」と悩んだり、ピタっと当てはまる言葉を一週間ずっと考えたり。歌詞は、詩とは違って歌う必要がありますから、言葉の響きの関係で使いづらい言葉も色々とありますしね。

——ここまで収録曲を年代順に振り返っていただきましたが、アルバムの曲順としては、リリース順にはなっていないところも面白いですね。

私自身も、カヴァー・アルバムではありますけど、一枚のオリジナル・アルバムのように聴けた部分がありました。流れがスムーズで、最後まで聴いたあとに「またはじめから聴いてみよう」という気持ちになります。今回収録されているのは、生まれた時代も、もともとのカラーも全然違う曲ばかりなのに、今こうして同じバンド・メンバーで演奏して、ゴローさんが全体を見ることで、ひとつの「今の音」に仕上がっていると思ったんです。

これは、私がこのアルバムで誇れるところだと思っています。何作も同じメンバーで作ってきているので、曲順も含めて「本当にオリジナル・アルバムみたいになったな」と。曲として力強さを感じるものが揃っていますし、とてもいい仕上がりになったと思っています。同時に、もともとオリジナルの曲が持っている力強さのようなものも、聴いていただく方にはすごく響くんじゃないかな、と思います。オリジナルを知らない人にも、聴いてみていただきたいですね。

——そういえば、原田さんはこの間も、『MUSIC FAIR』で欅坂46のみなさんと一緒に“時をかける少女”を披露されていました。あれはどんな体験になりましたか?

私にとっても楽しい経験でした。もちろん、同じ音楽をやっていて、同じ芸能界にいますけど、私からすると住む世界が違う人たちだとも思っていたんです。みんな今の芸能界の、とても華やかな場所にいる女の子たちだと思うので。

——いえいえ、原田さんもとても華やかなところにいる方じゃないですか(笑)。

私の中では、自分はそこにいるというよりも、そういう場所をずっと見つめてきた人間だと思っているんです。たまにそういうところに自分も入るんですけど、その時もその状況をずっと見つめている自分がいたりして。あのときは可愛い女の子たちの、今まさにワァッと花開いている美しさ、可愛さ、エネルギーをすごく感じました。

——(笑)。原田さんと平手友梨奈さんとのデュエットからはじまって、その後欅坂のみなさんが登場して、最後に原田さんがセンターでマイクを取っていました。

そうなんです(笑)。みなさんが私のまわりで踊ってくれて、最後に気づいたら私が真ん中にいて。そういう驚きもありましたね。

——そういったことが起こるのも、原田さんの楽曲がこれまで聴き継がれてきたからこそだと思います。35年のアーティストのキャリアの中で、原田さんにとってとても大切だった出来事を挙げるとしたら、どんなものが思いつきますか?

色々とありますが……それはやはり、慶一さん、トーレさん、ゴローさんとの出会いですね。

——これまで作品にかかわってくれた方々との出会いだ、と。

そうですね。きっと、これまでの色んな出会いが次へ繋がっていて。一緒にやらせていただくことで、違う面を開いてもらって、変化してきたと思うので。

——この35年の中で、原田さんと音楽とのかかわり方は、どんな風に変わってきたと思いますか。

今は、より生活の一部のようになってきている気がします。私はもともと、子供の頃から歌が好きで、当時はよく歌っていたんですよ。その頃の気持ちを、今すごく思い出している感覚がありますね。ここ数年は歌と朗読の会の「on-doc.(オンドク)」を通して、色んな会場で、色んな状況の中で歌うようになっていますけど、その中でもリラックスして、自分らしく歌えるようになってきているので。それは自分にとって大きな成長というか、変化だと思います。

そういえば、昔トーレさんのタンバリン・スタジオに行ったとき、音楽があの人たちの生活の一部としてあって、仕事なんだけれど趣味のような雰囲気であることに、「すごく素敵だな」と思ったんです。もしかしたら今は、それにすごく近いような雰囲気でゴローさんたちと音楽をやれているのかもしれないですね。「理想に近づいてきている」ということなのかもしれないです。35周年のツアーも、代表曲に色々な曲を盛り込んで、楽しいライブにしようと思います。最近はブルーノートのように(ステージと観客席が)近い会場が多かったですが、今回東京公演はBunkamuraオーチャードホールなので、「見せる」ことも考えたいです。

——今回のアルバムを聴いても感じましたが、幅広い世代の方々に来ていただけると最高ですね。最後になりましたが、原田さんは最近、どんな音楽にハマってらっしゃいますか?

最近は、アウスゲイルが好きですね。

——おお……本当ですか!

実は前作も好きで聴いていて、今年出たアルバムも聴いているんですよ。

——原田さんは以前アイスランドに行かれたこともありましたが、アウスゲイルもアイスランド出身のアーティストです。

そうですね。それを後から知りました(笑)。私がアーティストを好きになるのは、「この人の声が好き」という感じで声からのことが多くて、この人は歌声も、サウンドもすごく好きで。そこから入っていって、今作もよく聴いています。リスナーとしてはきっとすごく狭いと思いますけど(笑)、好きになったアーティストはじっくりと聴くことが多いのですが、中でもアウスゲイルは、サウンドも声も私の好みにピタっとはまった人ですね。

EVENT INFORMATION

原田知世 35周年アニバーサリー・ツアー“音楽と私”

2017.09.01(金)
ロームシアター京都 サウスホール

2017.09.23(土・祝)
山形・シェルターなんようホール(南陽市文化会館)

2017.10.07(土)
福岡・電気ビルみらいホール

2017.10.14(土)
広島・東広島芸術文化ホール くらら

2017.11.28(火)
東京・Bunkamuraオーチャードホール

詳細はこちら

EVENT INFORMATION

デビュー35周年記念 原田知世映画祭 「映画と私」

2017.08.05(土)~18(金)
ヒューマントラストシネマ渋谷

上映スケジュール
2017.08.05(土) 落下する夕方
2017.08.06(日) 愛情物語
2017.08.07(月) しあわせのパン
2017.08.08(火) 天国にいちばん近い島
2017.08.09(水) となり町戦争
2017.08.10(木) 黒いドレスの女
2017.08.11(金) SPECIAL MUSIC DAY「MELTING SUN & ICE MOON」
※上映前の19:30より、原田知世ミニ・トークショー開催(ゲスト:伊藤ゴロー)

2017.08.12(土) 紙屋悦子の青春
2017.08.13(日) サヨナラCOLOR
2017.08.14(月) 時をかける少女
2017.08.15(火) おまえうまそうだな
2017.08.15(水) 早春物語
2017.08.17(木) 彼女が水着にきがえたら
2017.08.18(金) 私をスキーに連れてって

連日1回上映(上映時刻は劇場までお問い合わせください)
詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

音楽と私

2017.07.05(水)
原田知世

【インタビュー】原田知世、“時をかける少女”、“ロマンス”も収録!デビュー35周年記念アルバム『音楽と私』を語る interview_haradatomoyo_2-700x691

初回限定盤[SHM-CD][+DVD]
UCCJ- 9213
¥3,600(+tax)

初回限定盤特典
CD:“雨のプラネタリウム”を追加収録
DVD:“ロマンス”と“時をかける少女”のMV収録
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【インタビュー】原田知世、“時をかける少女”、“ロマンス”も収録!デビュー35周年記念アルバム『音楽と私』を語る interview_haradatomoyo_1-700x691

通常盤
UCCJ-2141
¥3,000(+tax)
[amazonjs asin=”B071L8HRX7″ locale=”JP” title=”音楽と私(通常盤)”]
詳細はこちら

text & interview by 杉山仁
photo by Hideaki Hamada