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日々の生活で感じとったことを、軽妙で遊び心のあるイラストレーションで表現する作家、北田正太郎が個展<LINES AND COLORS ON PAPERS>を半蔵門ANAGRAにて、12月1日(土)から12月8日(土)の期間で開催する。

再解釈されたコラージュの方法論と、クレヨン画の切り抜き、カラーペイント、そして独特な表情を見せる彼の絵は、いかにその形をとるようになったのか。少しブラックで、どこか達観しているようにも見えるテイストは何に対するものなのか。

ここでは、北田正太郎のインタビューをお届けする。

Interview:北田正太郎

北田正太郎 インタビュー|遊び心溢れ、少しブラック、どこか達観している作家によるコラージュを再解釈とは? interview181128-kitadashotaro-1-1200x1200

——自己紹介をお願いします。

北田正太郎です。東京に住んでいます。

——作風について詳しく教えてください。

人にはカワイイ絵を描いてる人って言われることが多いけど、
自分では別にカワイイ絵を描こうと思ってるわけではないです。
画材もその時の興味で変わっていますが、今回の展示はクレヨンを使ったペインティングがメインです。

——今のスタイルになったきっかけはありますか?

一番よく使っている画材は普通のサインペンなんですが、あまり新しい発見が自分の中でなくなったからだと思います。

——ご自身のスタイルに影響を与えたと思う人はいますか?

最近好きなアーティストはJockum Nordstromというスウェーデンのアーティストです。
以前はアメリカかイギリスのアーティストがほとんどだった気がするんですが、
最近はフランスのYann KebbiやベルギーのSimon Lynenとかヨーロッパの人に惹かれることが多い気がします。

——絵以外のカルチャーで印象強かったものはありましたか?

最近見た中ではSen Morimotoのライブはすごい良かったです。
音は複雑なのに、めちゃくちゃミニマムな演出で、アンコールもやらないでサラーっと終わっちゃう感じとかすごい好きです。
それでいてフレンドリーでチャーミングな感じも混ざってて素敵なライブでした。

映画は劇的なエンディングがあるわけではないけど、
少しだけ晴れた気分になれる映画が、
自分の記憶に一番長く残っている気がします。

カルチャーはアングラ横ノリカルチャーとかも好きだけど、
少し背伸びをしないといけない様なところもあるので、
そこに乗り切れなかった人たちの持つ雰囲気が好きだったりします。

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——ちなみに、最近観た映画の中で、記憶に残った作品について教えてください。

『夢と狂気の王国』というドキュメンタリー映画の
宮崎駿がヤギの人形を部屋に入れるシーンが印象に残っています。

ハイジの展示のために作ったこの全然可愛くない人形は、
展示が終わった後に、倉庫に入れるのはかわいそうだからという理由で宮崎駿が引き取ったようです。

やっぱり自分の周りは、好きなもので囲まれていたいじゃないですか。

でも『自分はこうだから』と、外からやってくるものを否定するのでなく、
むしろ意外とそういうところに、ふとした新しい発見や出会いがあったりするので、
そういったノイズを楽しめるくらいの、いい加減な気持ちは常に持っていたいなあと、
個人的に改めて思いました。

——つぎに、好きなものを3つ教えてください。

最近ヨーロッパのアーティストに惹かれることが多いと言いましたが、
自分のキャパシティになかったものを、いきなり良いと思えることは絶対にないと思ってて、
ちゃんと順番あって、なるべくしてなっているんだと思います。

そういった自分の心の移り変わりを考えたりするのは結構好きです。

それから友達と最近見つけたアーティストをYouTubeで見せ合うのが好きです。
意外とこういうのが、お互いの共通言語を作るのに役になっているなあと、後々気づくことが多々あります。
これは相手を間違えるとお互い苦痛の時間ですが(笑)

あとはサーフィンです。
サーフィンの、大きな海の中で海パンと板1枚あれば遊べるという、とてもシンプルな側面が好きです。
早朝に海に入ってから仕事を始めたりしていると、生活にリズム感が出てきて、
なんだか毎日、有意義に過ごしている気になれるんです。

——では今回の展示について。ステートメントの「コラージュの再解釈」ということについて、もう少し詳しく教えてください。

コラージュは、素材が持っているイメージと切り離して組み合わせることで、新しいイメージを作り出す技法として知られています。

ただ僕は手を使って即座に、ダイレクトに反映できるコラージュで、
図と地のバランスや絵のコンポジションなどを意識した画面を作ることに興味がありました。
これは結構デザインをすることに近い感覚かもしれません。

今回の作品は、白い紙にクレヨンで描いたものをアウトラインで切り抜き、色を塗った画用紙に貼って絵を作っています。
僕は普段から自由に絵を描く時は、下書きはせず、ふと浮かんだものや手の動きに任せて描くことが多いです。
それから気に入ったのものだけを抜粋してストックしておきます。

アウトラインで切り出された、そういった全く関係のない素材同士が、レイアウトされることで
今まで自分の中になかった、図と地のバランスやリズム感の様なものが発見できたんじゃないかと思います。

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——最近の作品にはクレヨンを使って絵の内容がよりシンプルになった印象があるのですが、それは何か自身の中に変化があったのでしょうか?

単純にクレヨンがあまり細かい描写に向いてないから、パーツとなる1つ1つの絵が大きくなってそう見えるんだと思います。

—―今回の展示作品では、人の身体やそのパーツを描いたものが多く見受けられます。その中でも「顔」の登場が多いですが、それはなぜですか?

意識して「顔」を描いてるわけではないですが、
絵にしやすいというのはあるかもしれません。

特に、普段考えずに描き出すことが多いので、どこにでも目、鼻、口を入れがちです。
目、鼻、口の些細なバランスや大小関係で、
その人がどんな性格で、どんなことをしてそうというのが、なんとなく膨らんでくるんです。
それは描いてて楽しいし、そこからストーリーが出来てきて、手が進むんです。

気に入ってる顔は特にないですが、
怖すぎず、可愛すぎない人は気にいってます。
今までは頭がデカイ、2~3頭身の人が多かったんですが、
最近は人間に近いプロポーションを意識して描いてます。

——好きな色はありますか?

僕にとって色は対象物に着色するためだけのものなので、
そこにハマっていれば何色でもいいです。

——作品を作ることにおいて大事にしていることはありますか?

あまり自分の絵を大事にし過ぎないようにしています。

——絵はどこで描いていますか?

家で描いてます。いつも同じ机の上です。

旅行先で絵を描きたくなって、
ホテルの部屋で描いてみたり、ノートを持って外で描いてみたりしたことはあるけど、あまりいい記憶がありません。
引っ越したばかりの部屋に、長年使ってる机を置いてみたけど、
それもなんだか違和感があって慣れるのに時間がかかりました。

いつもと何も変わらない、同じ状況がいいんだと思います。

——お気に入りの画材はありますか?

特にないです。

——いま、最も興味を持っているモノ・コトは?

自分の絵を通して、人と話をすることは面白いなあと思います。

難しいことじゃなくていいんです。
人ってその絵が好きか嫌いかなんとなく、一瞬で判断できるじゃないですか。
それって今までの見てきた経験や周りの環境だけじゃなく、
本人にも分からないくらい色んなことが影響し合ってジャッジしているんだと思います。

だから話が盛り上がると、絵の話を超えて、
会話の節々から、普段聴くことのできないその人のパーソナルな部分を知れるきっかけになったり、
共有できる部分が見つかったりするんです。

——2018年で気になった、印象に残ったことは?

最近、インターネット上で自分の興味のある音楽やアーティスト等に巡り合う確率がすごく増えた気がします。

その一方、最近のオススメを聞かれてもパッと答えられないんです。
昔だったら、ちゃんと1つ1つ調べてたのに、
もう追いつかないくらいの情報が入ってきてしまうんです。

おかげで、僕のプレイリストは名前すら分からないアーティストだらけです。
困ったものです。

北田正太郎 インタビュー|遊び心溢れ、少しブラック、どこか達観している作家によるコラージュを再解釈とは? interview181128-kitadashotaro-10-1200x1200

——今、やりたいことはありますか?

これで舞台のセットとか作ってみたいですね。
そういう機会がない限り、金銭的にもスペース的にも自分では作ろうと思わないからです。

——10年後、どうなっていたいですか?

全くわかりません。
けど10年なんて、意外とあっという間に来ちゃうんだろうな。

—―北田さんにとって描くこととは?

よく分かりません。
だけどいくら描いても、また無性に描きたくなるものです。

——ありがとうございます。最後に、読んでいる方へ一言お願いします。

色々としゃべりましたが、要は線と色が紙の上に乗っているだけのことです。
『LINES AND COLORS ON PAPERS』というタイトルは、そんな見たままを言葉にしただけです。

音楽を聞くことや映画を見ることは、とても自然に取り入れることができるのに、
絵を見るとなると、どうもみんな背筋をピシッとさせて、高尚な文化に触れるかの様になりがちです。

だからこの展示には、特に気負うことなく見に来てくれたら嬉しいです。
そして見てくれた人の思ったことが正解だし、そのことに自信を持って帰って欲しいと思います。

北田 正太郎

1989年生まれ。東京に拠点をおくフリーランスのイラストレーター。
ペン画、コラージュ、アニメーション等の様々な表現手法を用いた作品をはじめ、雑誌やCD、グッズなどのアートワーク制作など、輻広く活動している。
2016年に、N0.12 GALLERYにて個展<SHOTARO KITADA EXHIBITION>を開催。

EVENT INFORMATION

KITADASHOTARO SOLO EXHIBITION
「LINES AND COLORS ON PAPERS」

北田正太郎 インタビュー|遊び心溢れ、少しブラック、どこか達観している作家によるコラージュを再解釈とは? art-culture181115-anagra-kitadashotaro-lines-and-colors-on-papers-1-1200x1200

2018.12.01(土)〜12.08(土)
WEEKDAY 15:00-22:00
HOLIDAY 14:00-21:00
ANAGRA(東京都千代田区平河町1-8-9 地下一階)
詳細はこちら

北田正太郎 Instagram

船津晃一朗

船津晃一朗

Qetic編集部

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