——『ザ・ウィッチ』というアルバム・タイトルは、ピューマローザの佇まいや音楽性にもとてもマッチしていると思います。そのタイトルを付けた理由は?

イザベル 収録曲にも“ザ・ウィッチ”というタイトルの曲があるんだけど、その曲がテーマにしろ音楽性にしろ、アルバムの中心に位置しているように感じたからこのタイトルにした。1つの宇宙の中心に魔女がいて、全てを動かして進化させていく。そんなイメージね。

——ピューマローザの楽曲は5分から7分といった長尺で、複雑に展開する楽曲が多いですが、作曲はどういった方法で行っているんですか?

イザベル 曲によってやり方はそれぞれだけど、例えば“プリーステス”なら、私がコードと歌詞だけをバンドに持っていってアレンジしていった。そこでお互いが演奏しながら反応し合って、曲が完成に近づいていくの。

ジェームス 本当にその時々のフィーリングなんだよ。楽曲がどんどんと膨らんでいく中で、それぞれの演奏を通して会話をして、一番良い会話が成立したと感じたら完成になるんだ。だから、曲によっては本当に伝統的な方法で作ったものもあるし、完全なインプロヴィゼーションで作り上げたものもある。

【インタビュー】ピューマローザ、表情を魔法のように操り生み出した『ザ・ウィッチ』の魅力 pumarosa__F7Q1987-700x467 【インタビュー】ピューマローザ、表情を魔法のように操り生み出した『ザ・ウィッチ』の魅力 Pumarosa_F7Q1979-700x467

——バンド全員が関わって曲を作り上げていくんですね。では、今回のアルバムの中で、最終的な完成形が最も変わった曲は何ですか?

イザベル たぶん“マイ・グル―サム・ラヴィン・フレンド”かな。一番時間をかけて作って、少なくとも5回くらいは全く違うアレンジになって、ようやく今の形になったの。

——“マイ・グル―サム・ラヴィン・フレンド”はアルバムの中でも最もドリーミーで多幸感のある楽曲ですが、当初はどんな曲だったんですか?

ジェームス 最初のバージョンは、もっと機械的な感じだったんだけど、最初から君の言うドリーミーで多幸感のあるフィーリングはあったんだ。でも、そういう楽曲は常にオーバーフローな状態にあるから、それを維持することが難しいんだよ。

イザベル そのフィーリングを一番良い形にしたくて、レコーディングを重ねたんだけど、ずっとエナジーが溢れ出しているようなものだから、良い時がずっとは続かないの。5時間も作業が続くと疲れてしまって、上がって落ちて、上がって落ちて、の繰り返しだった。最終的に、私がもう全て変えてしまおうと提案して、コードから何から全く違うものに書き換えたんだ。その日、最初に予定していたものとは全く違う形になったけど、それによってエナジーが戻ってきて、今の多幸感のあるバージョンになったの。

——そういう楽曲なのに、「Gruesome(=おそろしい、気味の悪い)」というタイトルになっているのも面白いですね。

ジェームス いろんなコントラストが表現できているのは、バンド・メンバー全員が曲作りに参加しているのも大きいと思う。“グルーサム”は最初、イタリア映画のサントラをイメージして作り始めたんだけど、そのイメージは最後まで共有しつつも、そこにメンバーそれぞれの異なるイメージが入って混じり合うことで、変化という形になって表れていったんだ。

——また、“ハニー”の歌詞には《あなたは私に善(good)と悪(evil)の物語を語る》という一節もあります。そういったコントラストはどこから生まれてくるのですか?

イザベル 歌詞の主題として、私は厳しく暴力的な物事にも興味があるから、言葉の面ではダークだったりもする。でも、それが音楽と一緒になった時に、よりポジティヴなものへと変わっていくの。サイケデリックな音楽というのは、ダークな部分までドリーミーに伝えてくれる。でも、“ライオンズ・デン”なんかはアグレッシヴな音楽にアグレッシヴな歌詞が乗っていて、音楽と言葉がもっとマッチしていたりもするから、それぞれの曲によって、私たちの様々な表情が見られるんじゃないかな。

Pumarosa – Lions’ Den (Live At Village Underground)

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RELEASE INFORMATION

ザ・ウィッチ

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