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横浜高校出身で野球の松坂大輔と同級生で、ももクロの楽曲の作詞を担当するなど幅広く活躍し、『フリースタイルダンジョン』出演でも話題となったサイプレス上野。今回、ロベルト吉野とのユニット「サイプレス上野とロベルト吉野」としてメジャー・デビューEP『大海賊』をリリース。彼らの現在、作品の制作過程について、サイプレス上野氏に聞いた。

かつて横浜市戸塚区にあった遊園地『横浜ドリームランド』の近くにある郊外団地=ドリームハイツ出身の先輩&後輩で結成され、07年のデビュー以降様々な音楽を飲み込んだサウンドとラップ・スタイルで人気を集めてきた。彼らがなんと結成17年目にして、メジャーに移籍。メジャー・デビューEP『大海賊』を完成させた。

の一時活動休止を経て、15年にアルバム『コンドル』で復活した彼らは、の『フリースタイルダンジョン』への出演なども追い風に人気を拡大。

そしてこのメジャー・デビュー作では、華やかさを増しつつも決して肩ひじ張ることなく、相変わらず彼ららしい音楽性を広げている。タイトルの『大海賊』とは、これまで同様、横浜ドリームランドに実在したアトラクションの名前から取られたもの。今まさに新たな大海原に漕ぎ出す彼らの現在について、作品の制作過程について、サイプレス上野氏に聞いた。

Interview:

——ロベルト吉野さんが復帰して、15年に『コンドル』をリリースして以降の活動の広がりについては、どんな風に感じていましたか? 特に上野さんは『フリースタイルダンジョン』のモンスターとしても活躍することになったと思います。

それはやっぱり大きかったですね。でも、途中からはむしろ「嫌だなぁ」っていう感じで。

——「嫌だなぁ」ですか(笑)。

もちろん、状況が変わっていくのは自分でもよく分かって、露出が多くなって色んな人に話しかけられるようになったり、ガキンチョたちに街で顔を指されたり、「ちょっと写真いいですか?」と言われるようになったりしたんですよ。

ただ、負けると色んなことを言われるわけで、「ああ、こういう世界なんだな。」「(番組が)こういうレベルになってきてるんだな」と感じてました。途中からは全然気にしないようにしてはいたけど、やっぱり戦いに行くというのは、あまりいいものではなかったですよね。「新木場行くのだりいな」って。

——難しいことをしても、すべての視聴者がそれを分かってくれるわけではないですしね。

結局、何か言ってくるやつはプロ野球の試合を観て「何やってんだよ!」「ちゃんとやれよ!」って言うやつと一緒なんで。俺も言うから(笑)。でも、やってるやつが「じゃあお前もやってみろよ!」というのは一番言っちゃいけないことだし。そもそも自分たちはブームの中心人物だとは思っていなかったし、ずっとやってきたことの延長戦上でそうなっただけだったんですよ。

漢くんたちとも「全部勝たなきゃいけねえのかよ? 負けるときは負けるんだから仕方ないでしょ」と言っていて。それに、自分の場合は別に『フリースタイルダンジョン』に比重をかけていたわけではないから、それ用に練習することもなければ、サイファー(複数人が輪になって即興でラップをすること)も行かなかったんです。

ただ、地方に行って、番組が放送されていない場所でも声をかけられたりするようになったのは大きかったですよね。だからまぁ、今回のメジャー・デビューも、自分たちの中では、何度か話をもらったりする中で「次の段階に行こう」ということですね。

そのときに、顔が売れたという意味では関係があったかもしれない。でも、基本的にフリースタイルと俺たちが作る音楽とは関係ないんですよね。実際、今回の作品も「バトルMCを集めて戦いを歌います」みたいな曲は1曲も入ってないし、俺はああいうの、最低だと思ってるんで(笑)。

KEN(KEN THE 390)なんて、審査員として番組に出てるのにバトル・シーンのアーティストを集めて曲を出してて、「俺たちよりも先にお前がやるなよ!」って(笑)。まぁ、あいつは戦友だし、これは本人にも言ってることなんですけどね。そしたら「まぁまぁ」って言ってたけど、俺はそういうことはやれないんですよ。

——作る音楽は変わらないということですね。フリースタイルのブームがあって、ヒップホップへの敷居が下がった今だからこそ、音楽的にヒップホップの楽しさが伝わるチャンスでもありますし。

間違いないですね。これはミスター小林さん(漢 a.k.a. GAMIが代表を務める鎖グループのマネージャー)にも言われたんですけど、「お前らはヒップホップのままポップ・アイコンになれるんだから、遠慮せずに行けるとこまで行っちゃえよ。」「あんなバトルするやつなんて絶対いないんだから」って。

『ダンジョン』のメンバーだったら、たとえば俺たちの今回の“ホラガイHOOK”も自分を卑下する曲だけど、Creepy Nutsとは角度が違って、あいつらは直接的に「俺たちはイケてませんでした」って言うけど、俺たちは「そこまでイケてなかったわけではないしな」という感じだし(笑)。一方で、DOTAちゃん(DOTAMA)は真面目じゃないですか。CHICO(CHICO CARLITO)は新人類だし、T-Pablowは不良の一番かっこいい形。それぞれ違うから、そこの強度がみんな一気に上がると、また面白いんじゃないかな、と思うんですよね。

——吉野さんは前作『コンドル』の“THE LAST”で、上野さんが「活動はまだまだ(続けるよな?)」と振ったら「うん……まぁね」と濁していましたけど、あれは冗談だったわけですよね(笑)。2人でより大きなところでやっていく、と。

いや、あれ、マジだったんじゃないですか?(笑)。あいつはそういうやつなんで。でも、あいつも状況が変わってきたことは分かってるはずですよ。

——では、結成17年目のメジャー・デビュー作となる今回の『大海賊』の収録曲についてそれぞれ聞かせてください。まず1曲目の“メリゴ”はSKY-HIさんを迎えて、フィリー・ソウル~ディスコ的な雰囲気のキラー・チューンの上で「これからも自分たちらしくやっていく」という2人の決意が表明された曲になっていますね。

このトラックに関しては、俺たちは去年星野源ちゃんの“SUN”を使ってライブをやっていて、本人も「超面白いじゃん」と言ってくれて。俺は自分のDJセットでもかけたりしていく中で「こういう感じの曲いいよな」と思ってたんで、今回岩崎太整くんと話をする中で、「自然に耳に入ってきて、なんかいい曲かかってるねという感じにしたい」と話しながら、その上でオリジナルなものにするためにいい塩梅を探っていった感じでした。

——SKY-HIさんの客演はどんな風に決まったんですか?

何人か候補が上がってくる中で、「日高を歌で使うのはウケるなぁ」って(笑)。

——SKY-HIはもともと、AAAの日高さんがラップを本格的にやりたくてはじめた名義だったにもかかわらず……(笑)。

そうそう(笑)。あいつとはもう10年以上の友達で、俺があいつのチ○ポを触ってる映像とかも残ってるぐらいなんですよ。でも、あいつにも新しいファンがついてるんで、参加が決まったときに「あいつとキス出来てチ○ポ触れるのは俺だけだ」って書いたら、中学生ぐらいのファンに「えっ?」って言われたりもして(笑)。

レコーディングは日高も日高で「ここはこういう節回しがいい」と何度も録り直してくれて、どんどん変わっていくのが面白かったですね。メリーゴーランドって、その場をずっと回ってるだけじゃないですか? でも、それでも楽しい人はいるわけだし、それでもいいんじゃないか、ということですよね。

【サ上とロ吉】「メリゴ feat. 」MUSIC VIDEO

——それはまさに、「これからも肩ひじ張らずに自分たちらしくやっていく」ということですね。次の“WALK THIS WAY(アセ・ツラ・キツイスメル)”にも、“最コア(=最高にコア/最高の最高)”をはじめ過去の曲に出てきたモチーフがちりばめられています。

俺たちの“よっしゃっしゃす〆”という曲に《汗・ツラ・キツいスメル/お送りしてるWALK THIS WAY》というリリックがあって、それがタイトルになっていて。これはライブ中、俺が吉野に「俺たちのスタイルで言ってやれ!」と言ったら、吉野が「汗、ツラ、キツいスメル」って言い出して笑っちゃったのが最初だったんですよ。

「それってまさに俺たちのことだな」って(笑)。「ツラ(面)」というのは本当に『WONDER WHEEL』を出した10年ぐらい前から言ってることですね。吉野と豊田に行ったときに、あいつが何にも刺されてないのにハチに刺されたような顔になってて、それを「ファイナル・フェイス(人として最後の顔)」と言い出したのが始まりでした(笑)。ツラが面白いというのは、「ヒップホップ第五の要素」ってみんな言うし。

——ははははは。

だから今回、最初はもっと女子に嫌われるような内容にしようと思ってましたね。俺らはとんねるずの“一気!”とかが好きだから、ああいう感じにしようと思って。というのも、今古きよき時代の音楽がリバイバルしている中でも、あの辺りは埋もれたまんまだろうなって思うんですよ。そういうところをすくわないとな、って(笑)。実際、ああいうお笑いは日本では消えてるわけじゃないですか。今は色んなTVの規制もあるし、『ダウンタウンのごっつええ感じ』を観ていた人間からすると、松ちゃんですら文化人みたいになっていて「あれっ?」って。そんな時代に、とんねるずの視聴率が下がってもああいうことをやっちゃう感じを遠めに見ながら、あの全盛の頃を俺たちも体験したい、という感じで作っていきました。

それをトラックを作ってくれたYasterizeにお願いしたら、最初は超ノリノリだったんですけど、途中から「何を言ってるのかよくわからないです。キツい。」って言われて(笑)。それで途中から「アツい感じにするのもいいんじゃないですか?」という話になって、「そういえばそうだな」と。それでだんだん高校球児が見えはじめてきて、甲子園のテーマ・ソングとして使われたら嬉しいな、と思って作っていきました。

まぁ、長年高校野球に関わるテレビを観ている俺からしたら、絶対に使われるわけないんですけどね(笑)。でも今、球児でヒップホップを聴いてるやつってめちゃくちゃ多くて、この間も自分の母校の横浜高校(上野さんは松坂大輔と同級生で、当時応援団長)の試合を観に行ったら、次に3年になる万波(中正)ってやつに、「プロになったら曲を作ってほしい」とお願いされて、「お前絶対忘れんなよ!」って(笑)。

次の“上サイン”は、自分がやってるハンドサインの曲を作ろうと思ってたら、一時期MU-STARSの藤原(大輔)くんから、1日1曲ぐらいすさまじいペースでトラックが送られてくる時期があったんですよ。その中でちょうどハマりそうな曲が来たから作った曲。リリックは“メリゴ”とも繋がってて、「世の中にはしなくていいこともたくさんあるけど、別にそれをやってもいいんじゃないか?」というのが裏メッセージですね。

杉山仁

杉山仁

ライター

乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、Hard To Explain~CROSSBEAT編集部を経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』をはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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