思えば過去にも政までも取り仕切った能力者は存在した。近年では、昭和30〜40年代を席巻した藤田小女姫(ふじたこととめ)という女流占い師は、岸信介、福田赳夫、松下幸之助、小佐野賢治等の政財界の大物達に重用され多額の財を成す。1968年、名前貸ししていたサウナが火災となり表舞台から姿を消す。1973年、ハワイに移住。1994年、自宅マンションにて何者かによって射殺され、現場から数キロ離れたホテル駐車場の乗用車の中から一人息子の射殺された焼死体も発見されという痛ましいエンディングを迎える。混迷する政治。その中枢に霊力が介入することを柳澤諒はどのように考えているのだろうか?

「ああ、『キッコーマン』の社名を付けた方ですよね。ちょっとビジネスに傾倒しすぎたんでしょうね。能力が本物か? お会いしてないのでなんとも言えないですね。実は僕も政治家はみてますよ(笑)。僕の場合は、政治家とコンタクトすることに危険を感じました。だって、政治って僕が決めるものじゃないですから。選挙の度に何人か僕のところへ来るんですけど、『この選挙の結果はどうなるのか?』と訊く。『だめ』となったら違うところに鞍替えする訳です。でもね〜、そんなこと僕がジャッジして果たしていいのか? と……。」

自身の能力が無軌道に連鎖することに一抹の不安を抱えながら、柳澤諒はけっして聖人君子ではない。まずは、彼のプロフィールを一読して頂きたい。聞こえは悪いが、胡散臭さが豊富に混入された香ばしい匂いがそこかしこに漂っているのだ。職歴/シンガーソングライター、ラジオパーソナリティー、スタジオミュージシャン、クラブオーナー……。そして現在は、ロックマインドを具現化した“霊能デストロイヤー”……。

「子供の頃からずっと音楽をやっていたんです。楽器はほとんどのものが弾けたんですが、主にギターですね。独学で全て(笑)。音楽スクールの講師、スタジオミュージシャンやらが初期のキャリアです。スタジオミュージシャンって普通初見で弾けますよね?僕の場合、独学ですから譜面が読めないんです。CMの曲の仕事だったと思うんですけど、『覚えてきますから1日頂けないですか?』って訊いたんですよ。当然そんな要求通らないですよね(笑)。それで、しょうがないから、鼻歌でディレクターに唄ってもらって弾いて(笑)『お前黒人か!?』って(爆笑)。僕はセッションが大好きなんですよ。他人の波動が事前に分かってしまうので。セッションは僕にとってセックスの快楽に非常に近いものですね。音楽でコミュニケーションを覚えたと言ってもいい。音楽には非常に救われましたね。キザイア・ジョーンズってご存知ですよね? 僕、彼と発想が近かったんですよ。わざとギターの弦を切ってみたり(笑)。」

2弦弾きのキザイア・ジョーンズの比喩!? 「従来の”霊能業界”をぶち壊す!」とのキャッチコピーもあながち嘘ではないようだ。
そのロックマインドは、その後なんと、セカンド・サマー・オブ・ラブで派生したレイブ、トランスへと導かれる。彼の職業欄はその時“クラブ・オーナー”と上書きされた。

「やってましたね〜、クラブ。それでパクられた(爆笑)原因? グラスですね。僕が? いや、DJとかお客さん達が吸いますから。要するに監督不行届と、『営利目的じゃないか?』という容疑ですね。当時、札幌市内のクラブは何件も摘発されていて、『入られない方がダサい』ってノリですね(笑)。結局、債務整理を弁護士を入れてやって。でも好きでしたね、あの、レイブ。レイブって右脳に良いですよ。テクノ、トランスって反復じゃないですか?『くるな〜!!』って(笑)僕、どこかの国の民族音楽が好きなんですかね?(笑)どんどん高揚してくのが自分で分かるんです。ですから、一見ばらばらに見える職歴も、実は自分の持つ霊能力と至近距離でそれぞれ繋がっていたんです。」

さて、そろそろ本題に入ろう。他人の潜在意識に潜り込むという一般人には想像もつかないその行為の実感とは果たしてどんな感触なのだろうか? そして、柳澤諒にとってのその原体験とは?

「家族としか接触がなかった頃は、動物と話せたことが周囲にとっての最初の異変ではなかったんでしょうか? 社会的というのもなんですが、具体的には幼稚園からですね、他人と日常的に接触する訳ですから。クラスメートが喋っていないのに、『諒ちゃん嫌い!』とか聴こえてくるんですよ。僕が、『何故!?』っていきなりその子に訊くもんですから周囲は驚きますよね(笑)。確信というか、決定的に自覚したのは小学生になってからですね。心霊現象に毎日あうし。具体的な対象が見えているんです。母から見たら、『この子、壁に向かって話している』ってことだったらしいですけど(笑)。」
 
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テクノ、トランスというハイテクノロジーミュージックを経由した霊能デストロイヤーの感性は、現在の緻密に張り巡らされたネット社会をどう捉えているのだろうか? 平坦に眺めると霊能とテクノロジーは真逆なものに感じるのだが?

「同じものでしょ? リンクしています。テレポテーションを考えてみたら分かると思いますが“テレポテーション=インターネット”な訳ですよね。ネット以前の僕は、『九州にいる彼は今こうなっているな』と見えていたんですけど、それが皆さん日常的に体験している。念って以前から電波に乗りやすいんですよ。そうそう、ここでミニ知識をひとつ。携帯の機種を変えると現状打破しやすくなるんですよ。新しいのに変えると新しい出会いがあるんですね。重複しますが、携帯の電波を通じて念というものが飛ぶ訳です。今までの機種で散々念を飛ばしてネガティブな事柄が多かったら、まずはその発信器を新たにすることが大切。これ、優秀な経営者の方達の常套句でもあるんです。」

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