バレンタインで失敗しても大丈夫!?
ハーツの悲恋エピソードを歌詞から読み解く。

“ステイ”(Stay)

1stアルバム『ハピネス』収録のこの曲。もうタイトルからしてStay=行かないで!……。未練タラタラなすがりつく男性心理を歌っているのか?

《順調だよ、なにもかも順調だよ、君に出会ってからというもの そしてそれ以前は、僕には逃げる場所もすがるべきものもなかった》てことは、これは運命の出会い、最愛の人を見つけた喜びの歌かと思いきや。

《土砂降りの雨の中で別れを告げて、歩き去る君を見送りながら僕は泣き崩れる(行かないで!)(行かないで!)》ええっ? なんで別れるの? 生きることに希望を与えてくれた女性なのでは? という疑問にラストで放たれるフレーズは《今までどうしても言葉が見つからなかったんだよ(行かないで!)(行かないで!)》ってことは、この主人公、まだ思いを言葉にしていなかった可能性もあるのでは。

ああ、言葉って難しい。女声コーラスの《Stay!》が切ないような皮肉なような。

Hurts – Stay (Official Music Video)

“ブラインド”(Blind)

2ndアルバム『エグザイル〜孤高〜』収録曲。アルバム全体がインダストリアル・サウンド寄りでちょっとヘヴィというのもあるけれど、この曲の歌詞は相当激しめ。

《君の元を去ってからというもの どの人ごみにも君の顔が見える(中略)この目をえぐり出してくれ なにも見えなくなるように(中略)僕の心はふたつに裂けてしまうだろうと ほかの誰かと一緒にいる君を見てしまったら》

別れた彼女がだれかといるところを見るぐらいなら……という悲痛な叫び。しかしまぁ、人ごみの中に彼女の面影を見つけてしまうって、ありがちといえばありがちなこと。しかしここまで精神をやられているとは、やはり男性の方が別れた相手を引きずるというのは真理かも。女性は比較的、「見返してやる」「もっときれいになってやる」反動型ポジティヴ派が多いような???

Hurts – Blind

“ワンダフル・ライフ”(Wonderful Life)

1stアルバム『ハピネス』収録のストーリー性のある曲がこちら。物語は三人称で歌われているので、どう取るかはリスナー次第だが……。

《土曜日の夜セヴァーン川に架かる橋の上で、スージーは理想の男性と出会う 彼はトラブルに巻き込まれて、できることなら一人にして欲しいと言う でも胸騒ぎがして、二人は沈黙の中で視線を交わし、全てを理解し合う》

行きずりの恋とも運命とも取れる歌詞。その後、彼には家族がいるのに世界に絶望してしまったのだと、スージーは気づくワケですよ。

落ち込みが激しい時、それが束の間の恋でも《手離さないで、こんなにも素晴らしい人生を》と言ってくれる女性に男性は安堵するってことなのでしょう。ま、その後どんな修羅場が待ち構えているかなんて想像は無粋なのでやめておきましょう。

Hurts – Wonderful Life (New Version)

“レディー・トゥー・ゴー”(Ready to Go)

ニューアルバム『デザイア〜衝動〜』収録曲。この曲の歌詞も寓意を含んでいるように思える内容。

ジャッキーという17歳の女の子はジプシーの女王のようだと讃えつつ、《君は知らないんだ 彼女が何を見てきたのか 或いは、彼女はどこに行ったのか でも彼女の視線を受けたら君は凍りついてしまうだろう(中略)彼女の体には黒い文字で刻んだタトゥーがあって こんな風に彫られている 私が死ぬ時には、そう、分かるでしょ 悔いはない》。

ミステリアスな少女に惹かれる心情? それとも恋愛を超えた畏怖の念を今の彼女に伝えている?それとも嫉妬に対する言い訳? いずれにしてもどこか謎めいていて、覚悟の決まった女王のような女性はきっと同性にとっても魅力的なはず。彼女も嫉妬と興味がないまぜになって、なかなか悩ましいですね……。

Hurts – Ready to Go

人間味が溢れたイケてるSEXYバンド
ハーツの来日公演を見逃さないで!

悲恋、失恋、時には道を踏み外すことも詩情豊かに歌うハーツ。モテるから傷つくのか、傷ついてきたからモテる人格が形成されたのかは謎だが、深く人間を見つめてきた彼らだからこそ表現できる音楽なのは間違いない。失敗を恐れるより、恋愛で人間性を深めたい人は勇気をもらえるのでは?

ちなみにニューアルバム収録の“ビューティフル・ワンズ“のMVでは、ドラァグクイーンに扮して、ドレスやハイヒールも着用したセオ。その経験は心地よく、いかに女性からいろいろなことを学んできたかもわかったとのこと。

モテモテの英国紳士はユーモアも人間味もたっぷり。その人柄や歌詞の世界を知ると、ライブがもっと身近に感じられそう。様々な“愛”を感じながら、一夜限りの日本公演となる今回の東京での単独ライブをお見逃しなく。

Hurts – Beautiful Ones

EVENT INFORMATION

HURTS Desire Tour Live in Japan 2018

ハーツ(Hurts)の悲恋エピソードを歌詞から読み解く!バレンタイン&来日直前特集! music_hurts_2-700x992
2018.01.29(月)
OPEN 18:00/START 19:00
マイナビBLITZ赤坂(旧名称:赤坂BLITZ)
1Fスタンディング ¥6,500/2F指定席 ¥8,000(1ドリンク別)

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RELEASE INFORMATION

『デザイア~衝動~|Desire』

2018.01.24(水)
ハーツ
SICP-5657
¥2,200(+tax)
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text by 石角友香