Radiohead – Creep (Live)

93年にはデビュー・アルバム『パブロ・ハニー』をリリース。周囲の期待に反して発売当初はいい結果を残すことは出来なかったものの、物事は意外な方向から動き始める。本国より遅れてアメリカでラジオのエアプレイが始まった“クリープ”は、当時現地で巻き起こっていたグランジ・ムーヴメントとも共振してUSチャートで本国イギリス以上のヒットを記録。その熱気がヨーロッパにも逆輸入される形で、年が暮れる頃には“クリープ”は英米の主要メディアで年間最優秀シングルに選ばれた。とはいえ、この作品は主にプロダクション面での理由から、メンバー自身の納得のいくものにはならなかったのも有名な話だろう。

Radiohead – High & Dry

こうしてブレイクしたバンドは、XTCやストーン・ローゼズらを手掛けたジョン・レッキーをプロデューサーに迎えてセカンド・アルバム『ザ・ベンズ』を制作。レコード会社の反対を押し切ってリリースされたこの作品で、彼らは「一発屋」「アイドル・バンド」という当時のイメージを払拭。R.E.Mらと回ったUSツアーの好評も追い風に、英米で1年以上に渡ってロング・ヒットを記録した。また、本作でエンジニアを務め、“ブラック・スター”ではプロデュースにも関わったのが、後に“第6のメンバー”と呼ばれるナイジェル・ゴッドリッチだった。

Radiohead – No Surprises

97年には、そのナイジェル・ゴッドリッチを作品全体のプロデューサーに迎えた3作目『OK コンピューター』をリリース。ポーティスヘッドやマッシヴ・アタックといったトリップホップ勢や、ヒップホップからの影響を落とし込んだダビーなベースと、ベンデレツキのようなクラシックの要素、プログレにも通じる複雑な楽曲構造でロックの新たな可能性を追求した。今作以降レディオヘッドの特徴のひとつとなる「最新の音楽を取り入れて進化し続けるバンド」というイメージを決定づけたこのアルバムは、全英チャートで初登場1位を記録。多くのメディアでその年の年間ベスト・アルバムを獲得した他、後にQ誌が読者投票で選んだ「宇宙最高のアルバム」ではビートルズの『リボルバー』を押さえて1位を獲得した。

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