Radiohead – Everything In Its Right Place (Glastonbury 2003)

Radiohead – Idioteque (Glastonbury 2003)

そうしてロックの向こう側へと踏み出したバンドは、00年代に入るとキャリア屈指の問題作を発表する。それが00年の4作目『キッドA』だった。初の長期休暇を過ごしたメンバーは、99年2月にふたたびナイジェル・ゴッドリッチと新作の制作を開始。エイフェックス・ツインやオウテカといったドリルンベース~エレクトロニカや、ドイツのレーベル、〈ミル・プラトー〉が00年に発表したコンピレーション『クリックス&カッツ』で定義づけたグリッチやクリックの手法を大々的に導入する。アルバムは実験的な内容でありながら、英米ともに初登場1位を記録。グラミー賞の「最優秀オルタナティヴ・アルバム部門」も受賞した。

Radiohead – Pyramid Song

そんな『キッドA』のセッションからは、もう1枚アルバムが生まれている。当時の作業であまりに膨大な素材が生まれたこともあり、5人はアルバム発売以降のツアーを一切することなく、スタジオに戻って5作目『アムニージアック』を完成。よりオーガニックなジャズ、ゴスペル、ブルースなどの影響が感じられるサウンドを、エレクトロニック・ミュージックを通過した感覚でまとめてみせた。

その後満を持してワールド・ツアーに乗り出すと、ヨーロッパ、アメリカ大陸、日本をはじめとしてソールドアウトを連発。特に故郷のオックスフォードでは、シガー・ロス、ベック、スーパーグラスをサポートに迎えて35,000人を動員した。その年に行なわれた4度目の来日公演では、“ナショナル・アンセム”でジョニーが使うトランジスタラジオが日本語の軍事関連のニュースを傍受したことも話題になった。

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