“取り憑かれるほどの情熱を注げるものに出会えてない人は不幸だ。”

端な発想かもしれないけれど、私はそう考える。

心の奥底からフツフツと沸き上がり、言葉では説明出来ないほど燃え上がる何かに出会った人間は、人生の節目で勝負の旅に出る。それは別に海外に限ったことではない。勝負のステージはどこにだってある。

しかしながら、実際、“燃え上がる何か”を持っていない人はとても多いのだと思う。

人は、いつから考えることをやめてしまったのだろうか? なぜ、群衆の中で静かに生きたいと思うのだろうか? 個性を嫌うのだろうか? 自分の選んだ道は正しいのか、間違っているのか、そんなことさえ考えず、ただひたすらに、大きな渦の中で流されて生きている。正しいか間違っているかなんて誰にも決められないことだ。でも、もし達成感や歓喜に埋もれることのない日々を過ごしているのだとしたら、今すぐそこから抜け出した方が良い。

海外生活なんて、挫折と勘違いの連続である。生まれ育った自分の国にいれば味わう必要のない仕打ちや壁に何度も出会す。その度に“この道を進んで良かったのだろうか?”と不安になる。そんなことの繰り返しである。

別に、大それたテーマを掲げて討論しないわけではない。ただ、あまりに暗く、重く、明るい未来が見えないニュースばかり飛び込んでくる日々に、“一度しかない人生をどう生きるべきなのだろうか?” そんなことが頭から離れないのだ。

前置きが長くなってしまったけれど、今回のコラムでは、一度しかない人生を“あること”に注いでいる2人のアーティストを紹介したい。1人目は和彫りのタトゥーアーティスト俊英(Toshihide)氏。ベルリンではただ1人の存在である。何に駆られ、何を思い、今に至るのか。そして、ベルリンにはテクノだけではないということも知って欲しい。

異国で活躍する異色のアーティストを密着したレポです。是非ご覧下さい!!

ワンアンドオンリーな生き方から何を感じるか!? ベルリン在住の和彫り師に迫る column150309_km_main

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