kim(UHNELLYS)

kim(UHNELLYS)

コラムニスト

声とバリトンギターによるリアルタイムサンプリングと、それにジャストのタイミングで合わせたドラムを基盤に、ロック、ヒップホップ、ジャズの垣根を飛び越えた唯一無二のサウンドを構築する「UHNELLYS」で歌う男。2013年には2度目の<FUJI ROCK FESTIVAL>に出演し、夜の食堂を大いに盛り上げる。そして2014年3月、自身で設立したレーベル、〈I’mOK〉から5thアルバム『CHORD』をリリース。何度でも言うが音楽は素晴らしい。

kim(UHNELLYS)

彷徨う理由

今から50年ほど前「ゾンビは人を襲う」という迷信があった。だからゾンビが初めて街に現れた時は酷い扱いを受けた。見た目が気色悪く、言葉が通じない死人がノロノロと近づいて来るのだから恐怖を感じても仕方がない。

0
kim(UHNELLYS)

猫の家来

殿、連れて参りました。中山道のあの茶屋の娘でございます。一目で惚れたんだ、と殿が興奮気味に仰っていたあの時の娘です。なんとこの娘も「殿の熱い視線がどうしても忘れられなかった」と申しております。これには驚きました。はい、十分に人目につかぬよう気を配りました。

0
kim(UHNELLYS)

パズル

目覚めると男はもういなかった。平日の朝だし、仕事に行ったのだろう。名前を聞いた気がするけど思い出せない。汗ばんだ顔と力んだ手つきは憶えてる。

0
kim(UHNELLYS)

More Than Words

会話も無く引っ越しの準備をしている私達。別居なんて離婚と一緒だって思っていたのに。先月、夫から「別居したい」って言われて私はどうしても断れなかった。だったら離婚しようよ、って私ならすぐ言い返すと思っていたのに。

0
kim(UHNELLYS)

夏の終わりと始まり

「やたら陽気なおデブ」僕は小さい頃からそう思われてる。大声で笑ったり、大げさなリアクションをしたり、ハンバーガーをいくつもたいらげたり、膨れたお腹を揺すってみせたり。ずっとこんなことをして来た。

0
kim(UHNELLYS)

声の記憶

「やっと見つけたぜ。俺はあんたに憧れて育ったんだ。いつか会いたいってずっと願ってたんだ」訪ねて来た若い黒人が興奮気味に私に言う。私には一体何のことかさっぱり分からない。君は誰かと私を勘違いしているよ、そう言っても若者は一向に譲らなかった。

0
kim(UHNELLYS)

不可能リサイクル

法律が改正され、不要な家族は粗大ゴミとして捨てられるようになった。住んでいる地域の福祉課の許可が必要だが、本人の了承があればそんなに難しいことではないらしい。

0
kim(UHNELLYS)

トライアングル

僕たち3人は幼なじみ。幼稚園で出会ってすぐに仲良くなった。喧嘩もせずに毎日遊び回り、褒められるときも叱られるときもいつも一緒。

0
kim(UHNELLYS)

おんなは度胸

息子の家族が海外旅行先で爆発に巻き込まれた。テロなのかどうかはまだ不明だが、真昼の商店街での爆発で多くの観光客が被害にあった。日本のマスコミでも連日報道されるほどの大事件だ。

0
kim(UHNELLYS)

書きかけのスコアブック

初めて発作が出たのは高校1年生の時だ。走り込みと球拾いを繰り返していた最中に、息子は気を失って病院に運ばれた。近くの病院では原因がよく分からず、あまり無理せず野球を続けていたが半年後にまた倒れてしまった。

0
kim(UHNELLYS)

賛美歌が聴こえる

「人通りが少ない場所に車を移動してくれ」夫がイラついた声で言う。私は返事をしないまま言われた通りにする。裏通りに車を停めて辺りを見回し、誰もいないことを確認してエンジンを切った。

0
kim(UHNELLYS)

LIGHTS, CAMERA, ACTION

カメラマンになるために上京して3年。僕はまだアシスタントにしかなれていない。事務所の先輩の重い荷物を運び、セッティングを済ませ、光の調節をする。斬新な構図なんていらない。相手先が求めるのは、どこの誰が見ても違和感のない写真。それを熟知したカメラマンが期待通りの写真を撮る。

0
kim(UHNELLYS)

次の方どうぞ

娘による最終テストが始まった。彼が自分の父親として相応しいかどうか、自転車に乗れない女の子を演じながら試すのだ。

0
kim(UHNELLYS)

オバケと不倫

彼はいつもの時間にやって来た。私は約束の時間より少し前に到着して彼を待つのが好き。そして新聞を読んだり、湖面を眺めたりしながらなんでもない時間を過ごす。誰にも邪魔されないこの時間を私達はずっと待ち望んでいた。

0
kim(UHNELLYS)

兵士のスマイル

「政治になんて興味ないさ、あんなのはネクラの人間のやることだよ」大学生だった彼は笑いながらいつもそんなことを言っていた。

0
kim(UHNELLYS)

この人を探しています

10年に1度くらいの頻度で私立探偵が流行する。おそらくTVドラマや漫画の影響だと思うが、その度に目をキラキラ輝かせた若者達が我が探偵事務所に詰めかける。

0
kim(UHNELLYS)

考えるバード

僕は渡り鳥をやめた。「飛んでいくべきだ。仲間達と一緒にいるべきだ」と本能は訴えかけて来る。でも僕はやめた。もうこりごりなんだ。長い時は何ヶ月も飛び続ける。もちろん休み無しだ。

0
kim(UHNELLYS)

写真には写らない

治安が悪い国に行けば行くほど、日本人に出会う確立は減っていく。僕はジャーナリストとしてそんな場所へわざわざ訪れるのだから仕方ないが、世界一治安の良い国に暮らしている人々にとって、危険な国に行く必要なんて確かにどこにも無い。

0
kim(UHNELLYS)

昨日までの自分

では1年後に。この場所でな」見るからに大金持ちな紳士に突然話しかけられて、僕は一夜にしてホームレスから大金持ちになり、男は紳士からホームレスになった。

0
kim(UHNELLYS)

弱い男 強い女

私は女性のための隔離施設で働いている。いわゆるDVシェルターだ。ここを訪れるのは、夫の暴力に耐えかね、子供の手を引いて逃げ出してくる母親がほとんどだ。

0
kim(UHNELLYS)

逆光の中に

「そのスケートボードを持ってる奴はいつだって中に入れるんだよ」そう言うと黒人の大男は僕を軽々と持ち上げ、柵の中に入れてくれた。この柵の中には誰でも入れるわけじゃない。トップレベルのスケーターしか入ることが出来ない特別な場所。それはこの街に住んでいる誰もが知っていること。僕もいつもは柵の外から大人達をかき分けて眺めているだけだった。

0
kim(UHNELLYS)

反する響き

「WAR PIGS!」今、東京を歩けばこの落書きを至る所で見つけることができる。「戦争豚野郎」とでも訳すのだろうか。戦争に向かう政府に対する、強い反抗のメッセージだ。

0
kim(UHNELLYS)

1人と1匹

僕が交通事故を起こし、両足とプロバスケットボールの選手生命を失ったのが半年前。厳しいリハビリを続け、やっと車椅子で出掛けるようになったばかりだ。本当はすぐにでもチームのメンバー達に謝りに行きたかった。

0
kim(UHNELLYS)

悪夢の中で

目が覚めると乗客は私だけになっていた。過ぎ行く車窓の景色も見慣れない。もしかしたら終点さえも寝過ごして、車庫に向かっているのかも知れない。駅から2、3駅までの記憶はあるんだけど。すっかり眠ってしまった。最近は毎日終電まで終わらない仕事のせいで心も体も疲れ切っている。でもこんな失敗は初めてだ。私は反省しながらひとつ大きく深呼吸をして、バスの運転手に声をかける準備をした。

0
kim(UHNELLYS)

許されざる者

敵対する抗争グループと揉め事を起こした私は、妻と息子を捨てて故郷を離れた。1人だけ助かりたかったわけではない。3人で逃げていたらすぐに見つかって3人とも殺されてしまうからだ。

0
kim(UHNELLYS)

一目惚れ

「ウチは居酒屋だから住み着かれると困るんだ」そんな苦情が来て、私は渋々現場に向かった。保健所で働き始めてもう15年以上経つが、野生動物管理の仕事は未だに慣れることが出来ない。

0
kim(UHNELLYS)

食べて。食べないで。

ママが痩せ始めたのは離婚して半年くらい経ってから。2人暮らしなのに食べ切れないほどの料理を作ってしまうママに、私はあえて何も言わなかった。きっと寂しいんだろうって、そのうち2人分に慣れてくれるだろうって思ってた。だけど実際はその逆だった。

0
kim(UHNELLYS)

ボーイミーツガール

売れないミュージシャンが男の中で最低だと思う。お金は持ってない、酒癖は悪い、そのくせ態度は大きい。でもそんな男がステージに上がっている時だけに垣間見せる、野生の獣の様な目つきで全部許してしまう自分がいる。

0
kim(UHNELLYS)

揺れる船

この湖で漁を始めて40年。親父がついに漁をやめると決心した。母親からそんな連絡をもらって、僕は数年振りに実家に帰って来た。

1
kim(UHNELLYS)

行方しれず

いつからなのか分からないが僕はお婆に育てられた。かすかにだけど父親も母親もいた記憶がある。でも物心ついたときからは、ずっとお婆と2人だけで生活していた。

0
kim(UHNELLYS)

お元気ですか

どんなに金を使っても使い切れなかった。銀座で数百万円ほど酒を呑み、お気に入りの女を高級マンションに連れ帰る毎日。たった2人だけで事業を成功させた私達はそんな生活を大いに満喫し、こんな日々がずっと続くと思っていた。

0
kim(UHNELLYS)

空飛ぶイルカ

休憩時間が終わり、俺は本番の水槽に移動した。もう腹が減って仕方がない。俺達は30分のショーを1日4回やらされている。この時間にしか餌がもらえないから俺達は言われた通りに飛び回るんだ。

0
kim(UHNELLYS)

思い出してごらん

ここは随分と山奥にある寂れたお寺。もう誰も管理していないから草も伸び放題だし境内もすすだらけ。でも私はわざわざここに来ている。

0
kim(UHNELLYS)

予感

初めてのデートは高校2年の春休みだったわ。相手は休み時間になるといつもふざけ合っていた子。ある時意外にもお互いに映画が好きって事が分かって、思い切って映画祭に誘ってみたら顔を赤くしながらOKしてくれたの。

0
kim(UHNELLYS)

歪み

「弟さんを勾留しているんですが何も話さないんです。このままだと留置所に入れることになるので親族に連絡を取りました」と警察から連絡をもらい、僕はすぐに弟が勾留されている警察署に向かった。

0
kim(UHNELLYS)

信じるものは救われる

地下鉄から地上に出た途端、あまりの夕陽の眩しさに僕は目を細めた。もうそんな時間だったかなと腕時計を確認するとまだ15時過ぎ。会社にはもう少しゆっくり戻ることにして、僕はしばらく早すぎる夕陽を眺めていた。

0
chelmico 03

RANKING

DAILY

WEEKLY

MONTHLY

Qetic 求人募集 03