自分は抗ってる人や音楽が好きなんですよね。

――誰も分からないけれど、自分が作りたいものを作るっていうマッドな感じには憧れたりはしませんか?

それを作るのは超・難しいと思うんですよね。まず、誰も分からないっていうのが無理だと思うし。あと、理解されなくてもいいという感覚は自分にはなくて、理解されないことは自分でさえも理解できない、ってことだと思うし。それは自分にはできないかな。

――例えば、フランク・ザッパとかどうだったんでしょうかね?

あの人はたぶん自分でも理解できていたし、理解してくれる人がいると思ってやっていたと思いますよ。まぁ、「お前なんかには理解できないよ」ってのはあったかもしれないけれど。

――じゃ、サン・ラとか(笑)。

とにかく力があるから。力の強さが理解を越えていく(笑)。でも、そこで戦いたいっていうのは、自分にもありますね。そんな気持ちが、わりと「ロック」に通じていくっていうのかもしれないですね。

――「ポップス」は、自分ができるものを組み上げる感覚だけど、「ロック」っていうのは、そういう力技な感じがありますよね。

イトケンさんが「あえて情緒とか感情みたいなのを排除して曲を作ることがある」というようなことを言ってたことがあって。それは斬新だな、と。

――いや、トクマルさんもその「枠」だと思っていたけれど……。

いや(笑)。僕は、必ず曲のどこかに感情の起伏があったり、コード進行で「いい感じ」になっちゃう時もある。でも、イトケンさんのは、それをどんどん排除しちゃうやり方。また、ヤンカノイのユミコちゃんは、ロック的な力で押しきるってことをあえてまったくしようとしないやり方。どちらも凄く面白いな、と思いますよね。

――自分の中にある「ロック」がにじみ出てしまう?

無理して入れたりはしないけれど。でも、そうやって、自然でないことを無理矢理やることも重要だな、とも思ってるんです。重力に抗うみたいなことをやらなくちゃ、と。ギターのピッキングでも、ダウン・ピッキングって重力に従ってるわけじゃないですか。でも、重力に逆らったアップのピッキングで弾いた方が、確実に強力な音になると信じてるんですよ(笑)。その思想が大好きで、くだらないんだけれど、それを入れてしまうのが好きだし、自分なりのこだわりだったりします。

Shugo Tokumaru(トクマルシューゴ) – “Decorate”Decorate(Official Music Video)

――実験性とかじゃなくって?

いや、あえて抗うというか。感情を逆なですることをしてみたいというか。そういう部分で、自分はポップスじゃないな、と思うんですよね。

――そこらへんに、客観性のあるポストロックとロックの違いとか、そういう部分につながってくる感じはしますね。そういう抗ってる音って、一時期とてもたくさんあったのに、最近、減っちゃって悲しいというか楽しくないというか……。

自分は抗ってる人や音楽が好きなんですよね。そういう人たち、どこかにはいるんだろうけれど、もっと出てきてほしい気がしますね。面白い音楽を作ろうと抗ってる人、一昔前だとmyspaceだったけど、最近はニコ動でも探してみたりするんです。得体のしれないアレンジをしたり、とんでもない曲を作ったりしている人を。

――いるんだ!

色々聴いてると時々ハっとしますよ。ニコ動だと、いかに目立つか、どんだけ面白いか、そのためにすごい切磋琢磨があると思うし、作曲家的な人は、そっちの方がシンプルにいいんじゃないかな、と。もし、今、自分が十代だったら、たぶんニコ動でもやってたと思うし。誰でもいきなり参戦できるメディアですからね。

――90年代の終わりころ、聴くもの聴くものが変な音楽で、でもなんか落ち着きもあって、不思議な感覚だったあのころ。ザ・シー・アンド・ケイクもそんな音楽のひとつだったと思うけれど、そこから15年近く経って、どう感じていますか?

気持ちは変わってないですね。ただ、自分も最近は、普通のロックをやったりすることって、なんて奥が深いのかなぁって思うようになったりしてます。エイトビートの曲って作れないんだけれど、最近は作れる気が少しだけしてます。

――ギター・ソロくらいはディストーション踏めるかも。

そうですね(笑)。はい。

(text&interview by 小田晶房[map])

Shugo Tokumaru – “Full Performance (Live on KEXP)”

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Event Information

LIQUIDROOM 10th ANNIVERSARY The Sea and Cake/トクマルシューゴ
2014.11.12(水)@LIQUIDROOM ebisu
OPEN 18:30/START 19:30
ADV ¥5,500(LIQUIDROOM店頭のみ¥5,000、1ドリンク別)
LINE UP:The Sea and Cake、トクマルシューゴ、jan and naomi
TICKET:チケットぴあ(234-006)、ローソンチケット(71180)、イープラス、LIQUIDROOM店頭

The Sea and Cake Japan Tour 2014
2014.11.14(金)@京都 METRO
OPEN 19:00/START 19:30
ADV ¥4,500/DOOR ¥5,000(1ドリンク別)
TICKET:チケットぴあ(244-479)、ローソンチ ケット(57007)、イープラス

2014.11.16(日)@福岡 ROOMS
OPEN 18:00/START 19:00
ADV ¥5,000/DOOR ¥5,500(1ドリンク別)
TICKET:チケットぴあ(244-571)、ローソンチ ケット(89467)